妹の恋人[完]

誘われるけど、無理にメンバーになれとは誰も言わない、この感じがなんだか心地いい。

「無理にとは言わないけど、今日くらいの時間には誰か来ているから、もし暇だったら来いよ」

そう言って肩をポン、と叩かれ、おつかれー!とコートを出て行った青山さん。

他の人たちも、それぞれ荷物を手にコートを出て行く。

「あ、あの???」

なんだかよくわからずに、近くにいた人に声をかけると、はははとなぜだか笑われてしまった。

「サークルとか部活じゃないんだよ、いや、一応サークルの届は出てるからコートは使えるんだけど」

先輩らしき人は、首から下げたタオルで汗を拭きながら、俺と一緒にコートを出てくれた。

その人の話によると、青山さんがメインで活動しているバスケットサークルで、登録しているメンバーが誰なのか皆よくしらないんだという。

「やりたい人がやりたいときに来るだけなんだよ」

だから、初めての人でも誰でもウエルカムらしく。

「浅野君だっけ、経験者?」

「ええ、少しですけど、ブランクが長いので」

「ブランクがあってあれだけ動けたらすごいね」

それじゃあ、と建物の前でその人とも別れ、久々に手にしたバスケットボールがなんだか嬉しくて。