妹の恋人[完]

受け取ったものの、久々に手にしたバスケットボールはとても重くて。

日常生活では全く気にならなくなっていた左手を、やはり無意識にかばってしまっている自分に気が付く。

とーん、とボールを弾ませてみると、なんだか気持まで嬉しくなって。

手にしていた鞄を適当な隅に置いて、軽くドリブルをしてみた。

「お、いい手つきだね。来いよ」

青山さんに誘われるがままに、ゲームをしていたメンバーに加えてもらい、事故以来初めてボールを追いかけて走った。

「浅野、いいじゃーん」

自分が思っているようにはやはり動けなくて、ブランクをすごく感じるものの、青山さんはなんだか満足そうで。

他のメンバーも、自然に俺までメンバーとして溶け込めているような気分になれるくらい、親切にしてくれて。

「いえ、まったく動けないですね」

ははっと笑いが思わずこぼれてしまう。

「そんなことないよー。いいね、明日も一緒にやろうよ」

他の先輩らしき人も声をかけてくれて。