妹の恋人[完]

「一人暮らしをしているんだから、たまには大勢での食事も楽しいだろう?」

単身赴任を経験しているからだろうか、そんなことを言ってくれて。

どうして一人暮らしをしているかとか、詳しい事情はもちろん話していないけど。

「ありがとう、伝えておくよ」

父さんの気持ちがすごくうれしい。

カナコにもカヨちゃんを紹介したいし、ちょうどいいかもしれない。

バスはすぐに来て、それなりに混んでいるバスで駅まで向かう。

大学がどうだとか、そんな話をしながら駅まで来て、違う路線に乗る父さんとは改札で別れた。

こうやって、父さんと一緒に家を出るのも悪くないな、なんて。

朝から気持ちよく大学へ行くことができた。



いつもより少しだけ早く着いた大学内は、ほんの少し早いだけなのになんだかとっても静かで。

自販機でコーヒーを買い、外のベンチで一人ゆっくりと飲んでいた。