妹の恋人[完]

イスから立ち上がり、母さんに出かけることを伝えている父さん。

「もうすこしゆっくりして行ったら?」

「なんだか落ち着かないから会社へ行くよ。定時で帰ってくるからそれからコウヘイの店へ行こう」

駅前で待ち合わせをしている母さんも、なんだか嬉しそうで。

朝から皆機嫌がいいまま一日がスタートした。

「あ、ちょっとまって、俺も一緒に行くよ」

父さんと一緒に家を出るなんて、初めてかもしれない。

同じバスで同じ駅まで向かうので、俺もあわてて準備をして一緒に家を出た。

二人で並んで歩くバス停までの道のり。

なんだかいつもの道なのにすごく新鮮で。

「そういえばコウヘイ、彼女と別れてからどうしてるんだ?」

高橋さんの家の前を通った時に、思い出したかのように父さんに聞かれて。

「あー、実は彼女ができました」

それも、昨日なんだけど・・・。

カヨちゃんのことを少しだけ話すと、今度家へ連れてきなさいという父さん。