妹の恋人[完]

受け取った書類を封筒に入れてもらい、テストの予約をしていると後ろから声をかけられた。

「高橋さん」

もうすぐ授業が始まるの、と普段学校で見る制服とまた違う、ちょっと大人びた高橋さん。

落ち着いたワンピースが、なんだかぐっと年上に見えてしまう。

「塾に通う気になったの?」

横にいた母さんに挨拶をした後、俺の耳元でこそっとつぶやく高橋さん。

「うん、テストの予約をしたよ」

「浅野君なら、大丈夫よ。一緒に勉強できるのを楽しみにしているわね」

それじゃ、またね!と教室の中へと消えていった。

「おにーちゃん、今の、かのじょ?」

受付近くのソファーにハナちゃんと座っていたカナコが、俺の近くに寄ってきて服の裾を引っ張った。

「違うよ、同じクラスの高橋さん」

まさか、彼女?と聞かれるなんて。びっくりしたけど、カナコの目がきらきらとしていて、好奇心に充ち溢れている感じだった。

俺に彼女がいたら、嫌じゃないのかな?

「彼女じゃないの?かわいいおねえさんだったね」