妹の恋人[完]

やりたいことがあれば大学進学以外の道もあるかと思うけど、それも見つけられていない俺。

同じクラスの友達は、いくつか志望校がある人が多いようだし、内心ちょっと焦ってもいた。

「家を出る気はないから、家から通える大学を考えているんだけどね」

自宅から通える国立大学は2つあり、でも2つとも決して近くはなくて。

電車で1時間くらいかかる場所だった。

「じゃあ、とりあえずそこを目指して勉強したら?目標としては悪くないと思うし」

レベル的には確かに上の方にあるそれらの大学。

志望校が他に見つかったとしても、悪くない目標だ。

「そうだね。今度の試験結果でこの先のことを考えようかな」

このまま自宅で頑張れるのなら、無理して塾へ通いたくないと思っている俺。

でもやはり、自宅でだけでは無理かも、とも思っていた。

実際、入院していて休んでいた分は何とか取り返せたかと思っていたけど、2学期の成績は思った以上に悪くて。

必死に取り返すために勉強もしたけど、思った以上に伸びなかったのも事実。

今度の成績次第では、塾も視野に入れるべきなんだろうか。

夜、それとなく母さんに今後の進路について相談してみた。

「コウヘイが進学したいならすればいいし、必要だと思えば塾も行っていいのよ」