妹の恋人[完]

スポーツは手を使わなければ問題ないと言われたけど。

手を使わないということは、まだまだバスケットはできないということで。

「時間はたくさんあるもの。ゆっくりでいいのよ」

こうして着実に結果が出てきているリハビリも、通う回数が週1回に減った。

「今日は本当にありがとう。これ、私からのプレゼント」

メリークリスマス、と言うと高橋さんは手に持っていた紙袋から紺色の手袋を取り出すと、俺の両手に付けてくれた。

「手編みにしたかったけど、私には無理だったわ」

買ってきたものでごめんね、そう言いながら手袋をはめた俺の手をぎゅっと握りしめてくれる。

「・・・ありがとう」

高橋さんの家の前に着いたというのに。家の前だってわかっているのに。

思わずぎゅっと高橋さんを抱きしめてしまった。

「コウヘイ君」

真っ赤になりながらもおれの背中に腕をまわしてくる高橋さん。

そっと顔をのぞくと、俺の視線に気がついた高橋さんが顔をあげて俺を見上げる。

そっとその唇に触れるだけのキスをすると、ぱっと俺から離れてしまった。

「そ、それじゃまたね!」

気を付けて帰ってね!そう言うとあわてて家の中へ入って行ってしまった。

「メリークリスマス」

きっと、俺の顔も赤かったんだと思う。

それでも、顔を赤くして恥ずかしそうにしていた高橋さんがかわいくて、彼女がくれた手袋も暖かくて、なんだか嬉しくて家へと戻った。