妹の恋人[完]

外も暗くなってきて、そろそろお開きの時間。

すっかりよっぱらってしまった大人二人はソファーで寝てしまったので、皆で手分けして部屋を片付ける。

あんなにたくさんあった料理もほとんど残りは少なくて。

父さんとハナちゃんのお父さんの分がかろうじて残っている程度。

残り物を高橋さんがきれいに別のお皿に盛りつけてくれて。

おそらくこれが今夜の父さん達の晩ご飯になるのだろう。

「送っていくよ」

家を出るころにはすっかり暗くなっていて、二人で並んで高橋さんを家まで送ることにした。

「今日は楽しかったわ。ありがとう」

俺がプレゼントした本を大切に抱えている高橋さん。

「俺も、楽しかった。ありがとうね」

そっと、高橋さんの右手を握ってみる。

「力が強くなってるね。なんだか嬉しい」

左手はまだ完全に自由には動かないけど、それでも以前に比べたら握る力も付いてきて、重いものを持ったり細かい作業でなければ、さほど不自由さを感じなくなっていた。

「でもまだまだかな」