妹の恋人[完]

「どうした?」

新聞から目をそらし、俺の目を見てくれる父さん。

「バスケ、やめることにしたんだ」

やはり、いつ復帰できるのかわからない状態で、在籍しておくことが俺にはできなくて。

中途半端な状態だから、何もできないようなきがして。

また、思うようにやれるようになってから正式に復帰すればいいだけだし、はっきりさせたいと思っていることを父さんに伝えた。

父さんは、そうか、とつぶやくように言うと、再び新聞に目を落とした。

しばらくお互いに沈黙が続いて、俺もよくにやることもなくテレビを見ているカナコと母さんをただぼーっと見ていた。

「コウヘイ」

新聞に視線を落したまま、父さんが口を開いた。

「思うようにいかないことは、これから先たくさん出てくると思う。でも、逃げ出すんじゃなくて、考えて出した結論なら自分を信じて進めばいいんだよ」

先生や母さんとはまた違う父さんの言葉。

やめることを止められなかった。

俺は逃げようとしているのかな?やめることは逃げることなんだろうか。