妹の恋人[完]

「コウヘイ?寝てる?」

どうやらそのまま眠ってしまったようで、夕飯ができたと母さんが呼びに来てくれて初めて外が真っ暗になっていることに気がついた。

1時間は眠っていただろうか。

下へ降りると、いつの間にか帰宅した父さんも食卓についていて、カナコは母さんの手伝いでご飯をよそっていた。

「おかえり」

「ただいま。寝てたのか?」

お茶を飲みながら笑い掛けてくれる父さん。

4人でそろって食事をするのが当たり前になってきたのは、いつだったろうか。

単身赴任が終わり、家から仕事へ通うようになってもしばらくは忙しくてなかなか夕飯の時間までに帰ることができなかった父さん。

最近、仕事が落ち着いてきたとかで、朝早く家を出ることは多くても夜は比較的早く帰ってくることが多くなった。

こうして、一緒に夕飯を食べることができる日も多くなって、なんだか家族がそろうのって嬉しい。

カナコがいつものように学校のことを話して、皆が笑っている。

事故があってから俺は自分のことをあまり話さなくなったことに今日気がついた。

「・・・父さん、俺さ・・・」

食後、皆で果物を食べながらお茶を飲んでいた時のこと。

カナコと母さんが、テレビドラマに夢中になってしまったので、新聞を読んでいた父さんの横で、俺もなんとなく横に座ってぼーっとしていた。