「浅野君、一緒に帰ろう?」
怪我をしてからバスで通学していて塾のない日は高橋さんと一緒に帰宅する。
季節は衣替えで夏服から冬服に変わった高橋さん。
伸びた髪を一つに束ねて、金木犀の薫るバス停までの道のりを、俺に合わせてゆっくり歩いてくれる。
甘い香りにちょっとむせそうになりながら、少し遅れてきたバスに乗り込む。
後ろの方のあいている席に隣り合わせで座り、窓の外の景色をなんとなく見ていた。
「浅野君」
ずっと何もしゃべらない俺に遠慮がちな高橋さん。
「なに?」
高橋さんの顔を見ると、なんだか泣きそうな顔をしていて、どきっとしてしまう。
「あの、ごめんね?つまんないかな、私といても」
ああ、カナコが俺を避けるように、高橋さんにも悲しい思いをさせてしまうのか。
それでも自分に余裕がなくて、うまくいえずにいると、悲しそうな顔から笑顔に変わる高橋さん。
「ごめん」
うまく言えなくて、ごめん。
結局。バス停に着くまで話をすることなく。
バスを降りてからも家の前まで高橋さんを送ると、それじゃあと別れた。
ああ、なんだか自己嫌悪。
どうしてこうなってしまったんだろうか。
怪我をしてからバスで通学していて塾のない日は高橋さんと一緒に帰宅する。
季節は衣替えで夏服から冬服に変わった高橋さん。
伸びた髪を一つに束ねて、金木犀の薫るバス停までの道のりを、俺に合わせてゆっくり歩いてくれる。
甘い香りにちょっとむせそうになりながら、少し遅れてきたバスに乗り込む。
後ろの方のあいている席に隣り合わせで座り、窓の外の景色をなんとなく見ていた。
「浅野君」
ずっと何もしゃべらない俺に遠慮がちな高橋さん。
「なに?」
高橋さんの顔を見ると、なんだか泣きそうな顔をしていて、どきっとしてしまう。
「あの、ごめんね?つまんないかな、私といても」
ああ、カナコが俺を避けるように、高橋さんにも悲しい思いをさせてしまうのか。
それでも自分に余裕がなくて、うまくいえずにいると、悲しそうな顔から笑顔に変わる高橋さん。
「ごめん」
うまく言えなくて、ごめん。
結局。バス停に着くまで話をすることなく。
バスを降りてからも家の前まで高橋さんを送ると、それじゃあと別れた。
ああ、なんだか自己嫌悪。
どうしてこうなってしまったんだろうか。

