妹の恋人[完]

「手術をしないと、最悪切断になるかもしれない」

それって、選択肢がないってことでしょ?

一晩ショックで寝付けなかったのであれこれ考えて。

母さんにも相談して手術を受けることになった。

薬でまず熱を下げ、体力を取り戻してからの手術。

夏休み前に退院できると思っていたので、もうしばらく入院になってしまったけど。

それでも手術は無事に終わり、術後の経過も良好。

抜糸もして、リハビリのOKも出たので夏休みも半分過ぎたころ、やっと退院することができた。

退院してからもうまく動かない左手のリハビリに週に3日は病院へ通って。

カナコや、カナコの友達のハナちゃんが時々付き合ってくれたりして。

高橋さんも家へよく遊びに来てくれて、カナコやハナちゃんと4人でゲームをしたりすることもあった。

あっという間に夏休みも終わり、やっと学校へ通えるようになって。

左手は相変わらずうまく動かなくて、鞄のような重いものはもちろん、鉛筆のような細いものもうまくつかめずにいた。

足の方は順調で、もう松葉杖もテーピングもなくて普通に生活できるまでになっていて。

まだ走ると少し痛みがあるので、左手が使えないのもあって体育の授業もバスケット部もお休みしていた。

いつまでたってもうまく動かない左手にいらいらすることも多くなって。

カナコもそんな俺の気持ちを察してか、リハビリも兼ねたゲームをやろうと誘ってこなくなった。