『でもさ〜孝之さんってそんなにかっこいいかぁ!?』

…こいつは。
いきなりなんということを。


『なんで!?かっこいいじゃん!!』

『そうかぁ!?私はそんなに好きな顔じゃないけど』

そりゃ。
好みは人それぞれだけどね。


『ってか、いきなりすぎだし』

『まぁ、どうでもいいんだけど』

結局そこね。
たどり着くのはそこなのね。


奈美との会話はいつもこんな感じの適当さ。
『お前それ嘘だろ』的な会話だって、とりあえずノリでしゃべってる。
そのせいか、二人でいる時は会話が絶えない。



『あ…』

『どしたん?』

奈美がまた何かを見つけたみたいだ。

『孝之さんだ』

『またぁ??さすがに二回もひっかかんないし』

『本当だって。ほら』


奈美が窓の外を指さした。

そこまでするなら今度は本当だろうと思って、ワクワクして外を見た。


『もお〜!!奈美嫌い!!』

奈美の指さした先にいたのは、孝之さんじゃなく、大輔だった。

『ははっ。大輔〜!!麻里が嫌いだって〜』

奈美は外を歩く大輔に叫んだ。

『はっ!?ちょっと奈美!!何言ってんの!?』

私は恥ずかしくて仕方なかった。

しかも私たちがいるのは三階。
しかも、しかも。
今は朝の登校時間で他の生徒だってたくさんいる。


そう考えると大輔がかわいそうになってきた。
奈美がやってることなのに、なんとなく心の中で謝った。

……
奈美がバカでごめん。



『はぁ??まぢで!?麻里に俺は好きだよって言っといて。笑』

『わかった〜。笑』

前の言葉は撤回しよう。
奈美も大輔もバカ決定。