『ねぇ。なんで私なのかな?リレーの選手』

『えっ…たしかに』


たしかにって…おい。
まぁ、言ったの自分だけどさ。


『でしょ。なんで私か不思議だよね!?』

『あっうん』
奈美は、間抜けな声で言った。


『ねぇ。もしかして興味ない?』

『いや。たしかになんで麻里なんかなって。麻里、足速かったっけ?』
奈美は、なぜだか畏まって、話をした。


『う〜ん。適度に?』

私がそう奈美に答えると、後ろの方から男の人の声がした。

『えっ!?うそ!?まぢで!!』

びっくりして振り返ると、予想した通り、せんさんが立っていた。


『ねぇ。今の本当?』

『えっ…』

『足速くないの?』

『あぁ…速くはないと思います。遅くもないですけど』

なんとなく“遅くない”ってところを強調してみた。
だって本当だし。

『あっそうなん?ならい〜や♪』

せんさんが安心したように笑って言った。


私が奈美と顔を合わせて、不思議そうにしていると
『何がですか〜?』
と奈美がせんさんに話しかけた。


『だってさ。麻里ちゃん候補に入れたの俺だから』


ま…麻里ちゃん!?
なんで私の名前…

『えっ?せんさん、麻里のこと知ってるんですか?』

『うん。知ってるよ。ってか、麻里ちゃんも俺のこと分かるよね?』


…えっ!?


『なんだ麻里〜。知り合いだったんじゃん!!』

『知り合いも何も遊んだことあるし。ね?麻里ちゃん』