その日の放課後も、団活動があった。

その日は、全体の練習が終わった後、各学年何人か団長に呼ばれて残った。

そこにはなぜか奈美と私もいて。
男子の方には、大輔もいた。


『何かね?』

『けどよかったね♪』
奈美がにこにこして言った。

『何が?』

またその話題か。と思い、少し不機嫌そうに言った。

『そんな顔して〜。ほら、孝之さんもせんさんもいるんだから♪』

『もぉ!!孝之さんはともかく、せんさんは関係ないでしょ』

『それはどうかな〜♪』

また意味ありげに笑う奈美。

私は、いい加減にしてよと言う代わりに、奈美の頬っぺたを抓ってやった。


『でも私はいいと思うけどな〜』

『はっ?』

『恋は突然訪れるものだから♪』


あぁ。
奈美が言いたいことは、それだったのか。


『それならないよ?』
私は、しらっとして言った。

『えっ?なんで?』

『だって。怖そうだもん、あの人』

『…理由それ?』

私は黙って頷いた。
そんな私をみて奈美は
『エムのくせに』
と呟いた。


『今それ関係ない!!』

『うっさい。エム!!』

『うっさいのは奈美でしょ!!』

『嬉しいくせに。私にいじめられて♪』

奈美が勝ち誇ったかのように微笑む。

『あ〜もぉ!!奈美嫌い』


結局私は言い返せなくて
『嫌い』の一言で終わる。

どうしたって、奈美にはかなわない。


『じゃあ〜話始めるよ』
団長が前に立って話始めた。


『えっとね〜。ここに残ってもらったのは、体育祭の時にリレーに出てもらうためで〜す』

『『え〜!!』』
突然の展開に、残っていたみんなは不満を声にした。

三年生はなんとなく分かっていたような顔をしている。



団長は団長で、そんなうちらを見て楽しそうだった。



けど…
リレーの選手になぜ私?
奈美と大輔は分かる。

奈美は、中学の時かなりすごい陸上選手だったらしい。
大輔はバスケ部で、団長はバスケ部の先輩だから。
元から足も速いしね。




…で。
問題は私。なぜ…私?