散歩道

『じゃあ次は、ウェーブの練習するから〜』


げっ!!ウェーブ!?
無理だよ〜


『じゃあいくよ〜!!せ〜の』


えっ!!いきなり!?

『お〜!!みんなできてるじゃん』

『あっ…できた!!』

なんかできちゃった。
今までダンスは、うまくできなかったのに。
ウェーブはすぐにできちゃった。

『おっ!!麻里珍しいじゃん。頑張った。頑張った』

『えへへ〜』

奈美に褒められて、照れながらも嬉しかった。

よかった。
これで三年生に迷惑かけないですむ〜!!

一番嬉しかったのは。
というより、安心したのはそこだった。



その時だった。
『なんだ。お前やればできんじゃん』
顔を覗き込まれて、そう言われたのは。


『ひっ!!』

三年生…。
しかも応援団の人だ。


『次は俺の番だったのになぁ〜』
その人は、私をからかうように笑った。

『へ??』

『ははっ。お前日本語しゃべれる?さっきから「ひ」「へ」とかばっか』

『えっ…と。ごめんなさい』

私はわけがわからなくて、とりあえず謝った。

なんなの。この人。


『ちょっとせん〜。一年生いじめないでよ』

あっ。孝之さん。

『え〜いじめてないよ?』

うそだ。
私いじめられてるよ。

『本当かよ?変なことすんなよ、せん』

『してないし。けどお持ち帰りしたい!!年下かわい〜んだもん』

せんと呼ばれる三年生は、すごく楽しそうに笑った。

『それが変なことだっての。麻里ちゃん気をつけてね』

孝之さんも笑って、私に言った。

『あっ…はい』



やばい。
…照れた。
かっこよすぎるんだよ。
孝之さん。
…とせんさん?

ちょっと変わった人だけど。
笑ってる顔が…ね。
孝之さんの方がかっこいいけど。





それが、誠也さんとの出会い。