散歩道

その日の放課後から団活動が始まった。


『さぁ!!探しましょう。孝之さんを!!』

奈美がかなりはりきって言った。
なんでこんなにテンションが高いのか分からない。

けど私もそれに釣られたりして。


『はい!!ってか。もう発見しましたから〜!!』

『おっ!!さすが麻里さん。早っ』


二年生も三年生もいたけど、そんなのお構いなしに私たちははしゃいでた。

そんなうちらを遠くでうらやましそうな目で大輔が見ている。
男子と女子で並ぶ場所が分かれていたので、いつも一緒にいる大輔が一人、離れてしまった。

すごく寂しそう…


だけど、大輔だって友達がいないわけじゃないんだから、そんな顔しなくても。

『ねぇ。大輔がこっち見てるよ』

『バカ大輔ちゃん。きっと奈美といれなくて寂しいのね』

そう言って奈美は、大輔に手を振った。

『麻里も振ってあげなよ』

『あっ。うん』


その時ちょうど大輔と私の直線上に孝之さんが重なって、私は孝之さんに手を振った感じになった。


『あっ…』

タイミング悪すぎでしょ!?
なんで今そこにいるの!?


『あら〜麻里ったら大胆!!』

『えっ。違うって!!今のは…』

『ほら。孝之さんこっち見てるよ〜。麻里ちゃんよかったわね〜』


うわっ。最悪…
何してんだよ。もう…

孝之さんとは、メールはしてるけど、そんなに深い仲じゃない。
手なんか振るような仲じゃないのに…


孝之さんが不思議そうな顔でこっちを見ている。


はぁ…


しかも。
そのあとさっそくダンスの練習。
体育祭の時に、各団でオリジナルダンスを披露するらしい。
そのダンスを一年女子に教えてくれる人の中に孝之さんがいた。
孝之さんは、うちらが予想した通り黄団の応援団らしい…



あ〜
メールといい、さっきのことといい。
非常に気まずい…