叫びたくなったが、よく考えれば自分が悪い。

廊下を走っていて、目指していた教室の手前の教室から
たまたま出てきた彼にぶつかった。

どう考えても彼は悪くない。

急いで立ち上がって

「すみません!」

というと、すぐに男の子は

「大丈夫?怪我しなかった?」

と優しく返してくれた。

キュンっ

私の胸の奥でそんな音がした。

「私は全然大丈夫です!」

と慌てて返すと、

「それならよかった」

と笑顔で言ってくれた。

私は彼の整った顔立ちだなぁと関心していると

「何か急いでたんじゃないの?」

と言われ、華恋ちゃんのことを思い出した。

「あ!えっっと、本当にすみませんでした!」

と急いで伝え、華恋ちゃんの待つ教室へ急いだ。

この時私はまだ学校の王子の噂はしらなかった…。