ギーーコ...ギーーコ...

少女はブランコをゆっくりと揺らしていた。

どれくらい時間が経っただろう...

少なくても空は真っ暗になっていた。

目が赤いと両親に心配かけるから、涙が乾くまで帰れない。

そう思い涙を止めるも、しばらくしてからまた思い出して涙が零れる。

その繰り返しから抜け出せずどうしようかと考えていた。

「おーい、帰っぞ。」

ま抜けた声が聞こえたので振り返ると敬太が居た。

照明に照らされてハッキリと顔が見えた。

「えっ!?けいちゃんそれどうしたの!?!?」

敬太の唇は切れ、所々顔が腫れ上がっている。

少女は自分が泣いてたのも忘れ、敬太を引っ張って帰宅した。

そして救急セットを取り出し手当する。

「いって!」

「我慢して!...はい出来た。...これどうしたの?」

「.....階段で転んだ。」

その会話を新聞を見ながら聞いていた少女の父親は

「...へえ、"階段"ねえ。」

と言いながら笑った。

母親もクスクスと笑いながら料理を作る。

「...悪いかよ。」

敬太がそう言うとまた少し笑った。