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「敬太〜♡」

「んー?」

「一緒に帰ろ♡」

「…おー。」

「ねえ、敬太〜今日家寄ってく?ママ今日遅いんだって」

「おー。」

中学二年生になり敬太は益々人気者になった。


「〜でさ〜…って敬太聞いてんの!?」

「おー。」

「なにそれえ〜怒っちゃうぞう!」

「…あ?」

「うそうそ〜ごめん〜!でねえ〜この前その女の脇腹チラッと見えたんだけど〜グロすぎて~!」

「…悪い、1人で帰って。」

「え!?ちょっと敬太〜!なによちょっとー!」

敬太は進行方向を180°変えスタスタを歩き去った。

遠くから木霊のように敬太を呼ぶ雑音が響く。



敬太は色んな女の子の相手をするようになり、少女と敬太の噂も消えた。

学年が上がりクラス替えがあったので、もう聞くことが無いと思ってた事だった。

ないと思ってたのに…

むしゃくしゃしながら昇降口に戻った。

「好きなんだ!」

下駄箱につくと、男の声が聞こえた。

どうやら敬太はなんとも言えないタイミングで昇降口に戻ってきたらしい。

「僕と付き合って欲しい。」

敬太が居ることにどうやら気づいていないようだ。

思わぬ展開に心を踊らせ下駄箱の影から覗いた。

「ありがとう。でも...ごめん。」

聞きなれた声とおさげの後ろ姿があった。

「凄く嬉しい。ありがとう。でも...」

「...好きな人でもいるの?」

「…うん。」

少女は少し間を置いてから頷いた。

ガタン

「…え?あ、けいちゃん!!」

昇降口にあるスノコがバランスを崩し音が鳴ってしまい、気付かれてしまった。

敬太は気まずくなりその場を去ろうとしたが、少女に捕まえられた。

「けいちゃんっ!!いつから居たの!?」

そう言いながら敬太を掴んだまま器用に靴を履き替え昇降口を出た。

「まさかけいちゃん居るとは思わなかったよぉー!」

彼女は俯いて手で顔をおおった。
耳が真っ赤になっているのがみえた。

確かにこいつは馬鹿だが、身長がありスラッとしていて目立つ。
いつの間にか男子の間でも騒がれる存在になっていた。

「はあ...。」

「けいちゃん、久々に会えたね!」

「...何人か言われたの?」

「うーん、3人くらいかな?」

「ふーん」

「…でも、好きって思ってもらえるのって嬉しいよね。」

そう言ってまた耳まで真っ赤にし、遠くを見ながら歩く彼女。

「は?でも好きなやつ居るんだろ?」

「……うんっ!」

少女の顔は格別に赤くなり、今まで見たことない程の笑顔で頷いた。

「…あっそ。」

「え!?ちょっと!待ってけいちゃんごめんて!」

「なんで謝ってんだよ!!!」

「あっ、その、だって...けいちゃんの事怒らせちゃって」

「うるせえな。」

「ご、ごめん!」

「…じゃあ今日部屋に来い。」

「...え?」

敬太は彼女の手を引っ張った。

「けっ...けいちゃん?えっと、あの!」

「なんだよ!!」

「だ、だって私なんかと居る所見られたら、け、けいちゃん」

「あ!?来んのか!?来ないのか!?」

「い、いきますっ!」

そのまま家まで手を離さず連れてった。

彼女を部屋に入れたのは何年ぶりだろう。

部屋のドアを閉めた瞬間、敬太は彼女を後ろから抱きしめた。

「け...いちゃん...?」



『好きな人がいるから』


そう言ってた癖に、彼女は何も抵抗をしなかった。


そのまま彼女のブラウスのボタンを外しながらベットに投げるように押し倒した。