「お世話になりました!ママ!今度GWに戻ってくるからねー!行ってきます!」

優香はニカッと笑い、車の助手席に乗り込んだ。

私と優美が手を振り見送った。

夫が運転する車が見えなくなり一息つくと

「ねえ、ママ。買い物行かない?」




「ねえ、ママこの服どお?」

そう言って優美が手にした服は、淡い黄色でシックなデザインのブラウスだった。

「可愛いけど…どうしたの?いつもと系統が……」

言いかけた所で優美はそのブラウスを私の胸の前にかざした。

「うんうん!似合うよ!これにしよう!」

「え!?ちょっとどういう事!?」

私の言葉を聞いてか聞かずか、優美はそのブラウスとネイビーのタイトスカートを持って会計しに行ってしまった。


ニケッとしながら帰ってきて

「ねえ、ママ喉乾いたー!」

子供の時のように言う優美に根負けし、カフェに入った。



「ねえママさあ、スタイル良いし綺麗だしまだ37でしょ?オシャレしようよ。」

優美はストローでカフェオレをかき混ぜながら言った。

「ずっと優香と話してたんだよねー!パパ来週誕生日じゃん。だからママにオシャレさせようと思ってさー。」

「え?パパの誕生日なのに私?」

「ねえママ?」

「ん?」

「ママってさ、パパの事大好きだよね。」

「そりゃあ大好きだよー!パパは昔から誰よりもかっこいいんだよ。」

「うんうん!じゃあパパとデートは?」

「え!?無理だよ!!パパが来てくれるわけないし!!」

「大丈夫だよママ、ママは可愛いから。」

「でも……」

「それに、これから2人暮らしになるんだよ?」

「そうだけど……」

「ママ、ちょっとだけ勇気出してみよ。大丈夫、ママ可愛いから。」

「……優美…。」

「もしダメだったとしてもさ。私も優香もママとパパの子供に変わりないし、それはそれで次どうするか一緒に考えよ?」

「優美…凄いね、もう大人になっちゃったね。」

「そんなのママとパパのお陰なんだから!」