「ねえ、ちょっとお父さんの事起こしてきてー!」

いつもよりちょっと早い日曜日の朝。

「はーい。」

次女の優香はあくびをしながら2階に行く。

「パパー!起きてー!」

台所には私と長女の優美。

優美がご飯を盛り付け、私は食器を片付ける。


4人家族になって18年。

今日、次女の優香が大学進学の為県外に引越しをする。

2階から主人と優香の笑い声が聞こえる。

これが毎朝恒例の音なんだけど、聞こえなくなると思うと少し寂しい。

「ねえ、ママ。」

優美がご飯をテーブルに置き、ひと段落したようで、私の手伝いをしに来てくれた。

「んー?」

私が少し寂しくなったのがバレたのかなと焦って笑う。

「ママ、パパと2人きりの生活大丈夫なの?」

娘からの問いかけにビックリして手が止まる。

「私もあと少しで嫁いでっちゃうし。大丈夫なの?」

優美が私の事を険しい顔でみつめる。

「おい、優美ー、朝飯なーにー?」

そこでタイミング良く主人が寝癖たっぷりの頭で顔を出した。



優美が主人と話してる間にテーブルに全てを並べ終え、みんなで席につく。

「優美、醤油とってー!」

「はい、パパ。あ、ママこれ美味しいー!」

「本当?良かった。優香準備終わったの?」

「あーもうちょっとー。」

いつも通り主人が話しかけるのはいつも娘達。

主人の目には私は映らない。

「あー、お姉ちゃんまだ20歳なのに結婚して家出ちゃうんだもんねえ。」

「パパとママも早かったからじゃない?」

「そっか、ねえパパって今何歳だっけ?」

「...7ちゃい。」

それでも娘達とふざけてる主人を見ていられるのが好きだった。