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「どっか出かけたい所あるか?」

「えっ?あー...ううん!大丈夫!」

相変わらず笑ってそう言った。
女ってのはデートすんの喜ぶと思ってたんだけど、そうでもないらしい。

「あ、これ書いといて」

「...え?これって...」

A4サイズの薄い紙を渡した。

「今日って何日だっけ...?」

「は?4月1日」

「...あ、そ、そっか!そういう事だよね!エイプリールフールだからか!あはは」

その紙には婚姻届の文字があった。

「は?何言ってんの?明日出しに行くんだよ」

「...え?あ、けいちゃん...そっか18歳になるからか...え!?でも!え?なんで!?」

「なんでってお前...子供居るだろ?」

そう言うと彼女はお腹を触った。

「な、なんで知ってるの?」

「は?知ってるも何もそれくらい分かんだろ。」

「...お母さんにも言ってない...。」

「もう俺から話してるから。良いからそれ書けよ。」

よく見ると少女の両親のサインもあった

「.....ごめんなさい。」

そう一言漏らしゆっくりとボールペンを手に取った。
なんで謝ったのか全然理解出来なかったけど、それよりも明日出しに行くことを考えるといてもたっても居られなくなった。

書類を書き終わった後、改めて彼女の家に行った。

自分の口からちゃんと話したいと言うから、着いて行った。

8月に子供が生まれるらしい。

帰り際、外まで送ってくれた時

「いつの間に話してたの?」

なんて聞かれたけど

「うるせえ、身体冷えるから早く中入れ。」

と言って追い返した。

教えられるわけがない、恥ずかしいだろ。