「すいませんでした。さっきまで一緒にいた奴からで」
「大丈夫なんですか?」
「あー全然。さっきちゃんと別れたのに、酔っ払ってて、またかけてきただけなんで」
「秋山…」
さっき彼の携帯に、秋山って名前がでてたのを思い出し、言ってみた。
「え?あ、そっか。さっき電話借りてかけたからか。そうです、その秋山です。秋山健吾っていうんですけど」
彼はちょっと困ったような、笑顔を向けてきた。
なんだ、デートじゃなかったんだ。
よかった…。
よかった?
私、何意識してるんだろ。
何勝手にほっとしてるんだろ。
バカみたい。
でも、彼が一緒にいた相手が、男の人だったということに
私は内心、喜ばずにはいられなかった。