【坂下裕人side】

俺には、もうすぐ付き合って一年の彼女がいる。

「仁奈ぁ〜!おっはよ!」

友達に呼ばれ、ふんわりとした表情で笑う少女。

「あっ、おはよぉ未央」

この子は津奈木仁奈。俺の一番大切な彼女。
本人は自覚ないらしいが、仁奈はとんでもなく可愛い。そして天然鈍感だ。

天然黒色の髪の毛は、さらさらとしていて大体肩の高さまで伸びている。
ぱっちりした大きい目。ふっくらした桜色の唇。低身長で高音の声。
まさに超絶美少女。
もちろん性格だっていい。優しくて、ちょっと泣き虫で、でもそこがまた可愛くて。俺のことをよく知ってくれて心配してくれる。

最高の彼女だ。まあ、めっちゃモテるのが気に食わないが…。

仁奈以外これ以上好きになれる奴なんて、もう出ないだろーな…。



そんな俺たちだが、始まりは俺の一方通行。つまり片想いだ。


俺と仁奈が出会ったのは、今から二年前。

高校の入学式の頃まで遡る。