「そんな攻撃、きかないってんだよ!」





そう言った男のこぶしがふりかざされる。





「あ――――――――!?」

(殴られるっ!!)





せめてもの意味で、両手を十字に組んで顔へのダメージを防ぐ防御を取ったのだが―――――。




「ぎゃあああああああああ!?」








体に伝わる振動。






「い、いてぇよぉ!!」

「・・・え!?」





慌てて防御をとけば、相手が私に向けていた手を抑えてうずくまっていた。

手のひらを何かが貫通していた。





(な、なんかよくわからないけど――――――――!?)





助かった!?





「えい!!」

「うお!?」





チャンスとばかりに、両手で相手を突き飛ばす。

それであっさりと相手は、廊下にあおむけになる。

形勢逆転。





「覚悟しろ!!」



「ま、待って!今はタイム―――――――――」

「てやぁぁぁぁぁぁ――――――――――――――――!!」






後ずさりする相手に突進しながら体をひねる。

一回転させる。






「くらえっ!!」

「凛っ!!」





(どう廻し蹴り――――――――――!!)





―――――――――――バコ―ン!!





私の名前を呼ぶ声と、渾身の蹴りが相手の脳天へと命中する。






「は・・・が・・・!?」

ドーン!!






それでのぞき犯は、一回転して廊下にうつ伏せに倒れた。







「はぁ・・・はぁ・・・やった・・・!」

「凛!!」






さっき、私を呼んだ声がする。

誰かなんて見なくてもわかる。

愛しい声が庭園に響く。





「よくやった!」

「瑞希お兄ちゃん・・・・」

「完璧などう廻し回転蹴りだったじゃねぇか!?」





〔☆良い子のためのワンポイントアドバイス☆〕
どう廻し回転蹴り:体を斜め下に沈みこませせ、その勢いを利用し、転がるようにして回転して蹴る足技だよん♪





息を切らせて走ってきた瑞希お兄ちゃんは、真っ直ぐ私に駆け寄ってきてくれた。





「大丈夫か!?浴衣がボロボロじゃねぇか!?」

「はは・・・・すみません、のぞき相手にやられて・・・」

「柔術だろう?」

「柔術?」

「ああ。」





〔☆良い子のためのワンポイントアドバイス☆〕
柔術:武器を使わないで、素手で相手を倒す柔道のベースとなった日本古来からある武道のことだよん♪