「おい、凛!やめ、ちょっと、離れ~」

「連れてってくださるまで、離れませーん!」





私のお願いの声に合わせて、左右に激しく揺れる車。





「わわ!烈司!前見ろ、前!」

「馬鹿野郎!だったら、押すな瑞・・・!げ!?対向車!?」





パパパパパ―――――――!!





「「ぎゃああああああああ!?」」

「行きたくないなんて言ってませんよぉー!」




キキー!!





私の訴えに合わせ、車が急停止する。





〔★危機一髪だ★〕




「「おっ・・・わああああああ・・・・・・・・!?」」

「うっ、うっ、行きたくないなんて言ってないよぉ~」





ギューと瑞希お兄ちゃんにしがみつきながら伝える。





「覚えてなかったのは謝りますぅ~だから、連れて行ってくださーい・・・・!」

「つーか・・・・事故りかけたことに対して謝れや・・・!」

「凛たんのおかげで、あの世に連れてかけるところだったぜ・・・」





うるむ目で訴えれば、ゼーハーと肩で息をしながら私を見るお兄さん2人。





「あぶねぇだろう、凛!運転中に抱き付くなっ!」

「運転してたのは俺だけどな?あ~・・・・ちょっと休憩~」





コラッと怒る瑞希お兄ちゃんと、タバコを口にくわえて火をつける烈司さん。




(どうしよう・・・2人共、そんなに怒ってるの・・・!?)




私が旅行を忘れていたことを・・・・?



〔★凛が思う理由と、瑞希達の怒っている理由は違う★〕




「凛!」

「は、はい!ごめんなさい!」




瑞希お兄ちゃんのこぶしがふり上げられる。




(叩くの・・・・・?)




そんな思いで、瞳をうるませる。

好きな人を見つめる。

これに瑞希お兄ちゃんは―――――――――





「っ~~~~~~~こんちくしょうがぁ――――――――――!!」



バコ―ン!!

「あだぁー!?」





烈司さんを殴った。



「・・・え・・・?」

(烈司さんを叩いた・・・・?)





それで、くわえていた煙草が灰皿の中へとホールインワンする烈司さん。




「い・・・・いってぇ!?瑞希!?なにしやがる!?」

「うるせぇうるせぇ!ポチやタマみたいに可愛い凛を叩けるか!?」

「俺は良いのかよ!?」



〔★瑞希は凛を叩けなかった★〕