石段を登り終え、たわい話をしながら、伊吹陽翔のお墓の側まで来た時だった。
「凛さん!」
「あ、可児君!?」
「お早いおつきっすね?」
いたのは、ホウキを持った甚平姿の新・副総長。
ニカッと笑って出迎えてくれた。
「掃除してくれたんですか?」
「いや~『先輩』になりますんですね。」
お墓を見て気づく。
「お供えまでしてくれたんですか・・・?」
お花に果物に、お線香。
個人が好きだった缶ジュースまであった。
「いや、これは俺じゃないんですよ。」
「可児君じゃないの?はき掃除してるのに?」
「あ、いえ、実は~ホウキを持ってここに来た時には、もう綺麗になってまして~せめて、地面だけでも整えようかと~」
「それはつまり・・・」
チラッと瑞希お兄ちゃんを見る。
無表情だった。
「ほ・・・他の関係者ですかね・・・?」
「ご、ご家族・・・・かもしれないですね~」
「可児君!」
「あ、すんません!関係者です!」
きっと、家族が来たんだ。
「おーい、なに固まってんだ?」
「お線香のにおいもするけど・・・」
「可児じゃないか?」
「わはは!待ち伏せかよぉー!?」
「烈司さん、モニカちゃん、獅子島さん、百鬼さん。」
こちらへ向かって歩いてくる集団。
遠慮して、ゆっくり来てくれた先輩方。
彼らも異変に気づき、お墓の前で固まった。
「ちょっとぉ~これ~もうお供えがすんじゃってるじゃない。」
「俺達やることがなくなったな・・・」
「そうなるな。やれやれ。」
「わははは!オメーがしたのか、可児!?」
「い、いえ、ですから、関係者がですね~」
説明をはじめる可児君。
私は私で、黙ったままの瑞希お兄ちゃんに声をかける。
「あ、あはははは・・・先を越されちゃいましたね~?」
「ご住職からは、『今日も来ない』って聞いてたが・・・やっぱ、息子だもんな。」
「あ、すみません!親父にはよく言っときます!」
「いや、気遣いはいらねぇーよ、可児。俺らの方が遠慮する立場だ。手だけ合わせて帰ろう。」
「えーお花どうする、みーちゃん?」
「菊を飾るのもな・・・」
「思いっきりお墓用だからなー」
「あ、あの!お花を挿してるところ、まだ余裕があるので押し込んでもいいじゃないですかね?」
「押し込むって凛・・・。」
それで瑞希お兄ちゃんの表情が変わる。
悪い方から良い方へ。


