彼は高嶺のヤンキー様4(元ヤン)






「凛・・・そんなにお父さんとお母さんが嫌か?」

「言いなりにならないと、不機嫌になるのが嫌です。」

「はあ~伊織の分析通り、『子供は自分の所有物タイプ』だな。」

「え?分析??」

「いや、こっちの話だ。俺、凛に好かれてるって思っていいよな?」

「こちらこそ!瑞希お兄ちゃん・・・・僕を好きで・・・・いてくれますか?」

「ああ、好きだ。大好きだ。」

「僕も大好きです!」





そう答えたら、うりゃうりゃあ~とほっぺを撫でまわされる。





「あはは!くすぐったい!」

「お前、プ二プ二してるなぁ~ホント、子供のほっぺだ。」

「からかわないでくださいよ~」

「褒めんてんだ。」





そのまま抱きしめられ、私も彼の背中に手を回して抱き付く。

ゲラゲラと二人で笑う。

ミンミンと大声でなく、セミに対抗するように。






「俺はアキナを敵だと思いたくない。」






一瞬、セミの音が止まった気がした。





「アキナを敵だと思ったら、陽翔も敵に回すことになる。」





私の笑う声が止まったのは間違いない。





「あれが・・・あれでアキナが・・・凛をあきらめてくれればいいと・・・ご都合主義で思ってる・・・・」

「瑞希お兄ちゃん・・・」

「俺の方だけに敵意を向けてくれていれば・・・・」

「それは違いますよ。」



ミーン、ミーン・・・




消えていたセミの声が戻る。

いいえ、我に返ると言っていい。





「彼女はあれで正常なんです。」

「・・・・・・は?」





私の言葉に、瑞希お兄ちゃんが私の顔を見る。

きっと、私もこんな顔で涼子ちゃんを見ていたんだろうな・・・と思った。

今なら、涼子ちゃんが言った言葉の意味を、自分なりに理解できた。