彼は高嶺のヤンキー様4(元ヤン)






「凛は、龍星軍を引き継いでくれた。しつこいストーカーを追い払ってくれた。夜店の手伝いをしてくれてる。」

「でも、それはたいしたことでは~」

「誰にでもできることじゃねぇよ。俺がバリスタの道に進めるように、凛はその手助けをしてくれてる。今だって・・・・・・俺のこと、はげましてくれてるだろう?」

「お兄ちゃん・・・」

「だからよ、自信持ってくれ。俺も・・・・・・・弟は凛だけだ。」

「え!?それだと烈司さんは~」

「双子だからいいんだよ!分身だ、分身!」

「そっちの方が良いです!」

「はあ!?注文が多いぞ、愚弟!?」

「弟はわがままなものです!」

「俺の弟は凛だけなんだから、それでいいだろう!?」

「そーですけど~~~」

「不満かよ!?・・・・ブラコン1番は?」

「・・・・・・・本当に1番ですか?」

「1番だ。生きてる・・・・弟の中では、1番だよ。」





そう言った表情にドキッとする。

はかなげで、切なそうだけど、優しい笑顔。

だけど、その口が吐く言葉は、甘くて残酷。





「陽翔はあくまで後輩だった。後輩の中では1番可愛い弟分・・・死んじまった中では、な。だから凛は、生きてる奴の中で・・・1番の弟だ。」

「・・・・それ、ズルくないですか?」





けっきょく、どっちにも良い顔してる。





「ズルいぞ。」





ニヤリと笑うと、耳元でささやかれた。





「面と向かって言うのは、凛が初めてだ。陽翔にはいってない。言うことさえなかった・・・」

「え?」

「俺が陽翔を忘れないのは、俺自身に罪があるからってだけじゃない。あいつを忘れちまったら、俺自身を否定することになる・・・。覚えていることで、これから死ぬまで・・・供養を続けたい。もしも、あの世であいつに会った時に・・・・」

「許してもらえるようにですか・・・?」

「怒ってくれるように。」

「・・・ばかですよ・・・」





お兄ちゃんは、ばかだ。

伊吹陽翔もバカ。

九條アキナも馬鹿。

ばか、ばか、ばか。

みんなばか。