「簡単に命を差し出すとか、あげるとか言わないでよ!僕、お兄ちゃんからそんな言葉聞いて悲しい!死んじゃうとか、言わないで!もう僕を1人にしないでよ!」
「凛。」
「またあなたがいなくなったら、僕はどうすれば――――――・・・・!?」
怒鳴りながら相手の顔を見る。
そして動けなくなる。
「・・・・どうした、凛?」
目に映るのは。
「泣きそうな面しやがって。」
その言葉通りの顔で、私を見ている瑞希お兄ちゃんがいた。
それで私の気持ちが固まった。
「九條アキナは、初代龍星軍が伊吹陽翔さんを奪ったと思って恨んでいる。だから、瑞希お兄ちゃん、烈司さん、モニカちゃん、獅子島さん、百鬼さんと順番にきて、最後に僕を消すつもりかもしれないけど――――――――――そんなことさせない。」
グッと、彼の腕を握る力を強める。
「そんなことさせない。瑞希お兄ちゃんは僕が守る。」
悲しそうな顔をしていた彼が、かすかに反応する。
憂いを込めた顔で微笑むと、子供に言い聞かせるように優しい声を発した。
「逆だ。」
「え?」
「今までは・・・そうだったけど、逆なんだ、凛。」
「どういうことです?」
「アキナと再会して、わかったんだ・・・。あいつ、順番を変えた。」
「は?」
「俺達が凛を大事だってわかったから、俺達の苦しむ顔を見るには、凛道蓮を狙えばいいって決めたんだよ。凛を殺せば、俺達5人がどれほど絶望するか、バレちまったんだ。」
「それって・・・」
(私が瑞希お兄ちゃんにとって、そこまで大事だということ―――――――――・・・?)
不謹慎だけど嬉しくなる。
ニヤケそうになる顔を誤魔化すため、私は瑞希お兄ちゃんに言った。
「ぜ、絶望って、そんな、大げさですよ!瑞希お兄ちゃんと烈司さんとモニカちゃんはそう思ってくれそうですが、獅子島さんと百鬼さんに関しては、そんな感じが全くしないのですが?」
「なんで凛が、『ジャック・フロスト』って呼ばれるか、お兄ちゃんわかった気がする。」
「え!?僕の顔、にやけてます??」
「真顔だな。真顔だけど・・・お前それは・・・・ぷっ!くくく・・・!!」
そう言った瑞希お兄ちゃんの顔が引きつる。
なぜか、笑い始める。
〔★凛のジャック・フロスト、瑞希に利いている★〕


