「俺は正直・・・アキナとやり合いたくない。勝てないとかじゃなくて、陽翔の大事だったものを壊したくないからだ。」
「壊したくないって・・・そんなことしたら、あなたがやられますよ!?」
「それでいい。」
「え?」
「それですむなら・・・アキナが救われるなら、俺の命くれてやってもいい。喜んで差し出すぜ。」
(喜んで、差―――――――――・・・・・?)
「ふざけないで!!」
(なに言ってるの!?)
彼が言った言葉を理解した時、叫んでいた。
「ふざけないで、瑞希お兄ちゃん!言っていいことと悪いことがあるよ!?」
「ふざけてない。俺の本心だ。凛には、知っておいてほしい本音なんだ。」
「ほ、本心とか、本心とか・・・やめてよ!どうして、瑞希お兄ちゃんがそこまでしなきゃいけないの!?」
「俺に責任があるからだ。ケジメをつけなければいけない・・・逃げちゃいけないことなんだ。」
「やめてよっ!」
瑞希お兄ちゃんに捕まれていた腕を引っ張る。
「そんなこと、言わないで!」
私の方からその腕をつかんで、その体をゆさぶる。
「お兄ちゃん、自分を責めて過ぎてるよ!お兄ちゃんだけが悪いわけじゃないでしょう!?伊吹さんが大事だったから、救えなかったから、そうやって自分で自分の首を絞めてるだけだよ!」
「凛・・・俺は龍星軍を陽翔に譲ったとは言ったが、丸投げしたと―――――」
「違う!丸投げとか違います!2代目達のやり方に問題があったんだよ!?一代限りでやめるつもりだったのに、わがままを押し通したのは誰!?なんでもかんでも、負い目を感じすぎだよ、瑞希お兄ちゃん!」
伊吹陽翔の存在を知った時、モヤモヤした。
それが嫉妬だと気づくのは早かった。
でも今は、2代目に対して殺意しかない。
死んでる相手に殺意はおかしいから、この気持ちは怒りだろう。
(私の大好きな人を苦しめてるのが許せないんだ・・・!)
だから伊吹陽翔のために、死んでわびるとまで言いだした瑞希お兄ちゃんの言葉に私は悲しくもなった。
その思いを、不満としてぶつけた。


