彼は高嶺のヤンキー様4(元ヤン)






「俺らが初代龍星軍だから。」

「え・・・?」

「伊吹陽翔は、初代龍星軍に会わなければ、死ななかった。だから、伊吹陽翔だけ死ぬのはおかしい。全部きれいにリセットする。それが・・・・・アキナの考えだろう。」

「・・・・そんな・・・・・・」



(まともじゃない・・・)



―正常です―




(私にはとても、まともには思えないよ、涼子ちゃん・・・・)





そう思うのは、私の好きな人が生きているから?





(私も九條アキナと同じ立場になれば・・・同じ考えになれる?)





確かに・・・・瑞希お兄ちゃんが殺されたら、私は相手に復讐する。

でも聞く限り、伊吹陽翔さんの死に方って、自業自得のような印象しかない。

瑞希お兄ちゃんに八つ当たりをしてるみたいで、あのものの言い方からしてすごく―――――――





「・・・・言いがかりみたいで、瑞希お兄ちゃん達だけのせいにして、ヒドイ・・・・!!」

「・・・俺達がOBとして、2代目のバックでサポートしなかったことを、アキナは根に持ってるからな・・・」

「でもそれは!一代限りでやめると決めていたからでしょう!?伊吹陽翔の方から、やらせてくれって言ったんじゃないですか!?」

「そうだが・・・。」

「なのに・・・卑怯だよ!!」




私の言葉に誰も応えてくれない。

無表情で黙り込み、唇1つ動かそうとしない。

それが逆に悲しくて、涙があふれそうになる。





「なんで・・・なにも言わないんです?反論してくれないんですか?」





みんなもなの?





(みんなも、死なせてしまった負い目から、違うと言えないの?)





居心地が悪い。





「凛。」





低い声で呼ばれる。




「・・・え?」




声のした方を、モニカちゃんが座っている反対側を見れば――――



カチャ!



車の扉が開く。





「瑞希お兄ちゃん?」





口をへの字にした瑞希お兄ちゃんが立っていた。

そして、身をかがめて、こちらをのぞき込んできたと思ったら。





カチャン。


「え?」




瑞希お兄ちゃんが、私のシートベルトをはず。

そしてその手が私の腕をつかんだ。




ガシッ!

(ええ!?)

「ちょ、お兄ちゃん!?」




無言で手を取ると、車から私を引っ張り出す好きな人。