「俺らが初代龍星軍だから。」
「え・・・?」
「伊吹陽翔は、初代龍星軍に会わなければ、死ななかった。だから、伊吹陽翔だけ死ぬのはおかしい。全部きれいにリセットする。それが・・・・・アキナの考えだろう。」
「・・・・そんな・・・・・・」
(まともじゃない・・・)
―正常です―
(私にはとても、まともには思えないよ、涼子ちゃん・・・・)
そう思うのは、私の好きな人が生きているから?
(私も九條アキナと同じ立場になれば・・・同じ考えになれる?)
確かに・・・・瑞希お兄ちゃんが殺されたら、私は相手に復讐する。
でも聞く限り、伊吹陽翔さんの死に方って、自業自得のような印象しかない。
瑞希お兄ちゃんに八つ当たりをしてるみたいで、あのものの言い方からしてすごく―――――――
「・・・・言いがかりみたいで、瑞希お兄ちゃん達だけのせいにして、ヒドイ・・・・!!」
「・・・俺達がOBとして、2代目のバックでサポートしなかったことを、アキナは根に持ってるからな・・・」
「でもそれは!一代限りでやめると決めていたからでしょう!?伊吹陽翔の方から、やらせてくれって言ったんじゃないですか!?」
「そうだが・・・。」
「なのに・・・卑怯だよ!!」
私の言葉に誰も応えてくれない。
無表情で黙り込み、唇1つ動かそうとしない。
それが逆に悲しくて、涙があふれそうになる。
「なんで・・・なにも言わないんです?反論してくれないんですか?」
みんなもなの?
(みんなも、死なせてしまった負い目から、違うと言えないの?)
居心地が悪い。
「凛。」
低い声で呼ばれる。
「・・・え?」
声のした方を、モニカちゃんが座っている反対側を見れば――――
カチャ!
車の扉が開く。
「瑞希お兄ちゃん?」
口をへの字にした瑞希お兄ちゃんが立っていた。
そして、身をかがめて、こちらをのぞき込んできたと思ったら。
カチャン。
「え?」
瑞希お兄ちゃんが、私のシートベルトをはず。
そしてその手が私の腕をつかんだ。
ガシッ!
(ええ!?)
「ちょ、お兄ちゃん!?」
無言で手を取ると、車から私を引っ張り出す好きな人。


