「先、行くわ。」
「あ・・・」
そう言うと、お線香とろうそくの入った袋をつかんで降りてしまう好きな人。
「まっ、待って、お兄・・・!」
バタン!
私の言葉に答えることなく、うつむき加減で足早に車から出てしまった。
「ああ・・・」
置いてかれた。
そんなむなしさが胸いっぱいに広がる。
「すぐ戻ってくるさ。」
「え?」
落ち込む私に、助手席の先輩がつぶやく。
「俺らと相性の悪いバラさんが、デリケートなアキナちゃんの話をしたから、ちょっとパニくってるだけだ。すぐに戻ってくる。」
「烈司さん・・・」
(つまり、それだけショックだったってこと?)
「九條アキナさんて・・・・どんな方だったんですか?」
「え?凛ちゃんを焼き殺そうとした子でしょう?」
「僕が聞きたいのは、過去の話です、モニカちゃん!!」
「あはは!うそうそ!ジョーダンよ♪そーねぇ~アキちゃんね~」
真顔でボケるモニカちゃんにツッコめば、気さくに笑い飛ばした後で言った。
「あたしらじゃなくて、みーちゃんに聞いた方が早いわよ。」
「え!?今の瑞希お兄ちゃんにですか・・・?」
「誰が傷口に塩を塗られた直後に聞けと言った。後でだ、凛道。」
「獅子島さん。」
「わはは!よく言うーぜ!傷に塗り込む塩作ったのは誰だぁ~伊織ぃ!?アキナを敵って言ったのは、マズかっただろう~!?」
「百鬼さん?」
それで疑問が浮かぶ。
「この場合・・・・アキナさんは敵なんですか・・・?」
「わからねぇ。」
私の言葉に、占い師が真っ先に答える。
「え・・・?烈司さんなら、『視れば』わかるんじゃないんですか?」
「忘れたか、凛たん?俺、『自分に近い存在や身近な人は視えない』って?」
「あ!?そーいえば・・・・」
そうなるとアキナさんは・・・・
「じゃあ、アキナさんは、それだけみなさんとは近しい間柄で・・・?」
「はるちゃんの彼女だったからね。」
答えてくれたのはモニカちゃん。


