彼は高嶺のヤンキー様4(元ヤン)






「先、行くわ。」

「あ・・・」




そう言うと、お線香とろうそくの入った袋をつかんで降りてしまう好きな人。





「まっ、待って、お兄・・・!」



バタン!





私の言葉に答えることなく、うつむき加減で足早に車から出てしまった。




「ああ・・・」




置いてかれた。

そんなむなしさが胸いっぱいに広がる。





「すぐ戻ってくるさ。」

「え?」





落ち込む私に、助手席の先輩がつぶやく。





「俺らと相性の悪いバラさんが、デリケートなアキナちゃんの話をしたから、ちょっとパニくってるだけだ。すぐに戻ってくる。」

「烈司さん・・・」





(つまり、それだけショックだったってこと?)





「九條アキナさんて・・・・どんな方だったんですか?」

「え?凛ちゃんを焼き殺そうとした子でしょう?」

「僕が聞きたいのは、過去の話です、モニカちゃん!!」

「あはは!うそうそ!ジョーダンよ♪そーねぇ~アキちゃんね~」





真顔でボケるモニカちゃんにツッコめば、気さくに笑い飛ばした後で言った。





「あたしらじゃなくて、みーちゃんに聞いた方が早いわよ。」

「え!?今の瑞希お兄ちゃんにですか・・・?」

「誰が傷口に塩を塗られた直後に聞けと言った。後でだ、凛道。」

「獅子島さん。」

「わはは!よく言うーぜ!傷に塗り込む塩作ったのは誰だぁ~伊織ぃ!?アキナを敵って言ったのは、マズかっただろう~!?」

「百鬼さん?」





それで疑問が浮かぶ。






「この場合・・・・アキナさんは敵なんですか・・・?」

「わからねぇ。」







私の言葉に、占い師が真っ先に答える。





「え・・・?烈司さんなら、『視れば』わかるんじゃないんですか?」

「忘れたか、凛たん?俺、『自分に近い存在や身近な人は視えない』って?」

「あ!?そーいえば・・・・」





そうなるとアキナさんは・・・・





「じゃあ、アキナさんは、それだけみなさんとは近しい間柄で・・・?」

「はるちゃんの彼女だったからね。」





答えてくれたのはモニカちゃん。