「やけにあっさりしてるわね、バラさん?」
最初に口を開いたのはモニカちゃん。
「なにあれ~?自分から声かけておいて、引っかき回して終わり~?らしくないわねぇー?どこか悪いのかしら?」
「女だったら生理だろう!わははははは!」
「お下品ね~あたし、あの岩倉って子、好きになれないかもぉ~」
茶化す百鬼に呆れるモニカちゃん。
「けど、顔立ちは良かっただろう?」
その様子をミラー越しで見ながら、ぶっきらぼうに言う烈司さん。
「ちょっとは、ストライクゾーンだったんじゃねぇの?」
「きゃははは!ジョーダン!見た目はアリだけど〜世間知らずのお坊ちゃま、馬鹿殿系は却下よ!」
「フン、バカ殿は芸人だ。」
「わはははは!ゲイのモニカがゲイ嫌いとはなぁ~」
「あたしはオネェよ!!」
いつも通りの空気に戻るメンバー。
だけど、私の気持ちは晴れない。
(・・・・・・・九條アキナさんか。)
第一印象からして、悪い以外の何者でもない。
(おじさん・・・アキナさんのことを、聞きたかったのかな・・・?)
「あの・・・瑞希お兄ちゃん・・・」
「アキナのこと、悪かったな、凛。」
ふいに瑞希お兄ちゃんが謝る。
それで車内のテンションも下がる。
「凛に、嫌な思いさせて・・・悪かった。」
「いえ、僕は大丈夫で――――――――」
「なわけないだろうっ!?初対面で焼き殺そうとしやがったんだぞ!?」
「お兄ちゃん?」
急に怒鳴られる。
握りしめる彼のこぶしが、目にとまる。
思わず凝視すれば、それに気づいた瑞希お兄ちゃんが、ハッとしたようにこぶしを開く。
「悪い・・・・」
「いいえ・・・・。」
気まずくなる空気。
なんとかしたくて、口を開けようとしたんだけど。
「わはははは!ファーストコンタクトはねぇだろう~!?」
「百鬼さん?」
私がなにか言う前に、野獣がしゃべった。


