彼は高嶺のヤンキー様4(元ヤン)






「やけにあっさりしてるわね、バラさん?」




最初に口を開いたのはモニカちゃん。




「なにあれ~?自分から声かけておいて、引っかき回して終わり~?らしくないわねぇー?どこか悪いのかしら?」

「女だったら生理だろう!わははははは!」

「お下品ね~あたし、あの岩倉って子、好きになれないかもぉ~」



茶化す百鬼に呆れるモニカちゃん。



「けど、顔立ちは良かっただろう?」



その様子をミラー越しで見ながら、ぶっきらぼうに言う烈司さん。



「ちょっとは、ストライクゾーンだったんじゃねぇの?」

「きゃははは!ジョーダン!見た目はアリだけど〜世間知らずのお坊ちゃま、馬鹿殿系は却下よ!」

「フン、バカ殿は芸人だ。」

「わはははは!ゲイのモニカがゲイ嫌いとはなぁ~」

「あたしはオネェよ!!」



いつも通りの空気に戻るメンバー。

だけど、私の気持ちは晴れない。





(・・・・・・・九條アキナさんか。)





第一印象からして、悪い以外の何者でもない。





(おじさん・・・アキナさんのことを、聞きたかったのかな・・・?)





「あの・・・瑞希お兄ちゃん・・・」

「アキナのこと、悪かったな、凛。」





ふいに瑞希お兄ちゃんが謝る。

それで車内のテンションも下がる。





「凛に、嫌な思いさせて・・・悪かった。」

「いえ、僕は大丈夫で――――――――」

「なわけないだろうっ!?初対面で焼き殺そうとしやがったんだぞ!?」

「お兄ちゃん?」





急に怒鳴られる。

握りしめる彼のこぶしが、目にとまる。

思わず凝視すれば、それに気づいた瑞希お兄ちゃんが、ハッとしたようにこぶしを開く。




「悪い・・・・」

「いいえ・・・・。」




気まずくなる空気。

なんとかしたくて、口を開けようとしたんだけど。





「わはははは!ファーストコンタクトはねぇだろう~!?」

「百鬼さん?」





私がなにか言う前に、野獣がしゃべった。