彼は高嶺のヤンキー様4(元ヤン)






「俺が会いたいとしても、向こうがいやがるだろう?」

「おい!バラさんは、会ってるか会ってないかを聞いているんだぞ!?」

「そりゃあ、聞きこみと思っていいのかい、刑事のお坊ちゃん?」

「―――――――――ひっ!?」





大きな声じゃなかったのに、岩倉という刑事がビビる。

黒子ファイブでも見せたことないような、ゾッとするような表情。





(これが・・・・・初代龍星軍総長の顔・・・・・?)





見たことないけど、自然とそう思えるだけの迫力があった。

固まる空気。




「こ、この~!言わせておけば!」

「落ち着け、岩倉!」

「だって、荒川さん!」



いら立つ大人達と。





「ケッ、小物が・・・」

「みーちゃん怒らせて、馬鹿みたい。」

「わはははは!喧嘩か~!?」

「それをするなら、飛び出してきたことに関する追及が先だ。」



それを余裕で受ける態度を見せる先輩達。

緊張感が走ったけど―――――――





「知らねぇならいいぜ。行きな。」

「フジバラさん!?」





トラブルにはならなかった。




「はあ!?なんですか、それ!?帰していいんですか!?」

「そういう権利がない。」

「・・・ということだ、岩倉。」

「絶対こいつら黒ですよ!吐かせましょうよ!」

「瑞希にビビったお前が出来るのか!!?」

「そっ、それは~~!?」




何も言えなくなった部下に、ため息をつく上司。

そして、私達全員の顔を見てから言った。





「九條アキナは、ブレーキがない車だ。」

「おじさん?」

「奴は、女版・サタンだ。」

「え・・・・?」

「落ちた天使は、もう舞い上がれない。」





そう言うと私達に背を向け、パトカーへと歩いていく。

その後を、納得いってないような顔の岩倉と、そんな仲間を荒川という刑事がなだめながらついていく。

そしてそのまま、車に乗り込んで行ってしまった。