「俺が会いたいとしても、向こうがいやがるだろう?」
「おい!バラさんは、会ってるか会ってないかを聞いているんだぞ!?」
「そりゃあ、聞きこみと思っていいのかい、刑事のお坊ちゃん?」
「―――――――――ひっ!?」
大きな声じゃなかったのに、岩倉という刑事がビビる。
黒子ファイブでも見せたことないような、ゾッとするような表情。
(これが・・・・・初代龍星軍総長の顔・・・・・?)
見たことないけど、自然とそう思えるだけの迫力があった。
固まる空気。
「こ、この~!言わせておけば!」
「落ち着け、岩倉!」
「だって、荒川さん!」
いら立つ大人達と。
「ケッ、小物が・・・」
「みーちゃん怒らせて、馬鹿みたい。」
「わはははは!喧嘩か~!?」
「それをするなら、飛び出してきたことに関する追及が先だ。」
それを余裕で受ける態度を見せる先輩達。
緊張感が走ったけど―――――――
「知らねぇならいいぜ。行きな。」
「フジバラさん!?」
トラブルにはならなかった。
「はあ!?なんですか、それ!?帰していいんですか!?」
「そういう権利がない。」
「・・・ということだ、岩倉。」
「絶対こいつら黒ですよ!吐かせましょうよ!」
「瑞希にビビったお前が出来るのか!!?」
「そっ、それは~~!?」
何も言えなくなった部下に、ため息をつく上司。
そして、私達全員の顔を見てから言った。
「九條アキナは、ブレーキがない車だ。」
「おじさん?」
「奴は、女版・サタンだ。」
「え・・・・?」
「落ちた天使は、もう舞い上がれない。」
そう言うと私達に背を向け、パトカーへと歩いていく。
その後を、納得いってないような顔の岩倉と、そんな仲間を荒川という刑事がなだめながらついていく。
そしてそのまま、車に乗り込んで行ってしまった。


