「おじさん、ひどい!!」
「ひどい、だ?」
「瑞希お兄ちゃん達が、そんなことするわけないじゃん!?決めつけないでください!」
「してねぇって言うのか?嘘つきは、逮捕されても仕方ないんだぞ?」
「飛び出しをするおまわりさんを部下に持つ人に言われたくない!説得力ないです!」
「なっ!?僕の飛び出し作戦に引っかかっておいて、それはないだろう!?」
「岩倉!!」
「訂正!残念な部下を持って、それを制御できてないおじさんにがっかりです!!」
「テメーもだろうが!!?」
途端に、大声を張り上げるおじさん。
「初代も制御できてないってんじゃ、テメーの方が大した悪ガキだ、4代目龍星軍総長・凛道蓮っ!!」
「な・・・・!?」
「ああ、そうだ!オメーらがやったという証拠はねぇ!けど、オメーらが関係してるだけの情報はある!検挙するには足りないぐれーだがな!」
「おじさん・・・」
「瑞希!!」
私をにらんだまま、瑞希お兄ちゃんを呼ぶおじさん。
その顔がシブくなった時、私の身体に触れている瑞希お兄ちゃんの力が一瞬ゆるむ。
「九條アキナと会わなかったか?」
(九條アキナ!?)
龍星軍の中で、私の中ではよくない印象の名前。
それが出たことで、空気が張り詰める。
「どうした?九條アキナのこと、坊やに話してないのか?」
「知ってます!伊吹陽翔さんの彼女でしょう!?」
「黙ってろ凛っ!!」
そう言うなり、私を自分の背中に隠すように押しやる。
「凛は黙ってろ・・・!!」
「あ・・・・・はい・・・・」
わずかに見えた横顔は、怖いとも悲しいとも違う、変な顔をしていた。
その口元が、はかなげに動く。


