窓を開けた状態で、おじさんと対峙するお兄ちゃん達。
「じゃあ、数日前は?」
「もが?」
「数日前?」
「『錦織町の森林の中にある廃墟ビル』で火災があったことぐらい、お前らも知ってるだろう?」
「ああ。全焼したらしいな、幽霊廃墟?」
「悪い組織がダミー会社として使ってるだけの建物だって知ってるだろうが!?」
「ジョーダン。その火事がどうかしたのかよ?」
「オメーが、鬼みたいな顔で建物に向かったって目撃情報があるんだよ、真田瑞希!」
「もが!?」
「それから、龍星軍所属の若手とそのOBが、現場から逃げるのを見たって話も出てる。」
「もが~!」
(ヤバいよ、お兄ちゃん!バレてる!)
焦る私をよそに冷静な瑞希お兄ちゃん達と、淡々と話を続けるおじさん。
「少し前から、怪しい業者が出入りしてたことから、ほかの課が捜査していた。それでお前らの目撃情報だ。それでうちに回って―――――――」
(きたのね!?)
「こなかった。」
「もがー!?」
(え?こなかった??)
「こなかった、のか?」
聞き返す瑞希お兄ちゃんに、無表情でおじさんが答える。
「どういうわけか、事件自体に圧力をかけられてるらしい。クルーザーの事件の時と同じように。」
そう言うと、瑞希お兄ちゃんへと近づきながら言った。
「お前達の仕業だろう、龍星軍?」
(えええええええ!?)
確かにクルーザーで暴れたけど!
錦織町の森林の中にある廃墟ビルでの火災にも関係してるけど!
(どちらも、私達が被害者じゃなーい!!)
〔★そこが問題ではない★〕
「答えろ瑞希!」
「はん!ジョーダンじゃねぇ。俺らに警察黙らせるコネがあるわけねぇだろう?」
「そう言いきれるか?お前みたいな美人なら、喜んでいいなりになりそうな親父がいるだろう?」
「あんだとぉ!?」
「挑発に乗るな、瑞希!!」
「もがが。」
れーじさん。
普段は静かな宗方烈司さんが大声を出す。
それで、キレかけていた瑞希お兄ちゃんの表情が変わる。
「っ・・・・!」
まるで何かに耐えるように、グッと唇をかみしめる。
瑞希お兄ちゃんの顔が切なくなった時、私を抑えていた力がゆるむ。
その隙をついて、彼の手を申し訳ない思いで押しのけながら言った。
グイッ!!
「り・・・!?」
「―――――――――ヒドイ!!」
「凛!?」
「坊主。」
感じたままに、警部補さんへと言い放った。


