彼は高嶺のヤンキー様4(元ヤン)







窓を開けた状態で、おじさんと対峙するお兄ちゃん達。





「じゃあ、数日前は?」

「もが?」

「数日前?」

「『錦織町の森林の中にある廃墟ビル』で火災があったことぐらい、お前らも知ってるだろう?」

「ああ。全焼したらしいな、幽霊廃墟?」

「悪い組織がダミー会社として使ってるだけの建物だって知ってるだろうが!?」

「ジョーダン。その火事がどうかしたのかよ?」

「オメーが、鬼みたいな顔で建物に向かったって目撃情報があるんだよ、真田瑞希!」

「もが!?」

「それから、龍星軍所属の若手とそのOBが、現場から逃げるのを見たって話も出てる。」

「もが~!」

(ヤバいよ、お兄ちゃん!バレてる!)





焦る私をよそに冷静な瑞希お兄ちゃん達と、淡々と話を続けるおじさん。




「少し前から、怪しい業者が出入りしてたことから、ほかの課が捜査していた。それでお前らの目撃情報だ。それでうちに回って―――――――」



(きたのね!?)



「こなかった。」



「もがー!?」

(え?こなかった??)



「こなかった、のか?」




聞き返す瑞希お兄ちゃんに、無表情でおじさんが答える。




「どういうわけか、事件自体に圧力をかけられてるらしい。クルーザーの事件の時と同じように。」



そう言うと、瑞希お兄ちゃんへと近づきながら言った。





「お前達の仕業だろう、龍星軍?」


(えええええええ!?)




確かにクルーザーで暴れたけど!

錦織町の森林の中にある廃墟ビルでの火災にも関係してるけど!





(どちらも、私達が被害者じゃなーい!!)





〔★そこが問題ではない★〕





「答えろ瑞希!」

「はん!ジョーダンじゃねぇ。俺らに警察黙らせるコネがあるわけねぇだろう?」

「そう言いきれるか?お前みたいな美人なら、喜んでいいなりになりそうな親父がいるだろう?」

「あんだとぉ!?」

「挑発に乗るな、瑞希!!」

「もがが。」

れーじさん。





普段は静かな宗方烈司さんが大声を出す。

それで、キレかけていた瑞希お兄ちゃんの表情が変わる。



「っ・・・・!」



まるで何かに耐えるように、グッと唇をかみしめる。

瑞希お兄ちゃんの顔が切なくなった時、私を抑えていた力がゆるむ。

その隙をついて、彼の手を申し訳ない思いで押しのけながら言った。





グイッ!!

「り・・・!?」

「―――――――――ヒドイ!!」

「凛!?」

「坊主。」





感じたままに、警部補さんへと言い放った。