彼は高嶺のヤンキー様4(元ヤン)






「コラー!降りてきなさい!出てこないか!」

「「「「「・・・。」」」」」

「・・・みなさん・・・?」





岩倉という刑事がドアを叩いたり押したりするけ、ガン無視。

荒川という人は、こちらをチラ見しながら、車の前部分をゆっくり調べてる。

嫌な空気と沈黙。

ずっと続くと困ると思っていたけど――――――





「伊吹陽翔の墓参りか?」





その一言で終了する。

言ったのは、短くなったタバコを、携帯灰皿に押し付けたおじさん。




「だったら、なんだよ?」




答える瑞希お兄ちゃんの顔は険しい。

これにおじさんは皮肉るように言う。




「オメーら、意外と長続きすると思ってよ。4代目連れて、墓参りか?」

「バラさん、こいつら署まで連れて~」

「連れて行ったら、お前の方が問題にされるんだよ!宗方の座席をよく見ろ!録画カメラが置いてあるだろーが!?」

「え!?どれです??」

「わかんねぇのかよ!?これだから~・・・!荒川!このバカを抑えてろ!」

「はい。」

「えーちょっと~!?引き止めたの俺ですよ~」




荒川に襟首つかまれ、引きずられていく岩倉。

その様子に、肩で大きく息をしてからおじさんは言った。





「お前ら先週、どこで何をしてた?」

「先週?」

(先週は~・・・・)


「答えなくていぞ、凛。」

「もが?」





そう言った瑞希お兄ちゃんに、口をふさがれる。





「警察相手でも、個人情報は軽々しくしゃべらなくていい。警察も、無理やり聞き出す権利はない。」

「もがもが・・・」

「それもそうだ。じゃあ、話題を変えるか。」

「もが?」

「先週、公にはなってないが、ミサイルで一部破壊されたクルーザーを水上警察が発見したらしい。」

「もが!?」

(それって~・・・・)



心当たりがある。



むしろ、知ってる。




「そこの水上警察の連中が言うには、圧力がかかったおかげでマスコミに騒がれなかったが、捜査も規制され、本日で解決したというシナリオを渡されたそうだ。」

(お兄ちゃん・・・)





目だけで、チラッと見ると、怖い顔で黙ってるだけ。

他のみんなも似たような顔で、面白がってるのは百鬼ぐらいだ。





「なにか、知らねぇーか?」

「知らねぇ。」





瑞希お兄ちゃん!?



(お兄ちゃんが『知らない』ということは~)



「それはお前も同じか、凛道蓮?」

「もがもが!」



(同意するしかないでしょうー♪)





首を縦に振って口裏を合わせる。



〔★凛は瑞希に従った★〕