「コラー!降りてきなさい!出てこないか!」
「「「「「・・・。」」」」」
「・・・みなさん・・・?」
岩倉という刑事がドアを叩いたり押したりするけ、ガン無視。
荒川という人は、こちらをチラ見しながら、車の前部分をゆっくり調べてる。
嫌な空気と沈黙。
ずっと続くと困ると思っていたけど――――――
「伊吹陽翔の墓参りか?」
その一言で終了する。
言ったのは、短くなったタバコを、携帯灰皿に押し付けたおじさん。
「だったら、なんだよ?」
答える瑞希お兄ちゃんの顔は険しい。
これにおじさんは皮肉るように言う。
「オメーら、意外と長続きすると思ってよ。4代目連れて、墓参りか?」
「バラさん、こいつら署まで連れて~」
「連れて行ったら、お前の方が問題にされるんだよ!宗方の座席をよく見ろ!録画カメラが置いてあるだろーが!?」
「え!?どれです??」
「わかんねぇのかよ!?これだから~・・・!荒川!このバカを抑えてろ!」
「はい。」
「えーちょっと~!?引き止めたの俺ですよ~」
荒川に襟首つかまれ、引きずられていく岩倉。
その様子に、肩で大きく息をしてからおじさんは言った。
「お前ら先週、どこで何をしてた?」
「先週?」
(先週は~・・・・)
「答えなくていぞ、凛。」
「もが?」
そう言った瑞希お兄ちゃんに、口をふさがれる。
「警察相手でも、個人情報は軽々しくしゃべらなくていい。警察も、無理やり聞き出す権利はない。」
「もがもが・・・」
「それもそうだ。じゃあ、話題を変えるか。」
「もが?」
「先週、公にはなってないが、ミサイルで一部破壊されたクルーザーを水上警察が発見したらしい。」
「もが!?」
(それって~・・・・)
心当たりがある。
むしろ、知ってる。
「そこの水上警察の連中が言うには、圧力がかかったおかげでマスコミに騒がれなかったが、捜査も規制され、本日で解決したというシナリオを渡されたそうだ。」
(お兄ちゃん・・・)
目だけで、チラッと見ると、怖い顔で黙ってるだけ。
他のみんなも似たような顔で、面白がってるのは百鬼ぐらいだ。
「なにか、知らねぇーか?」
「知らねぇ。」
瑞希お兄ちゃん!?
(お兄ちゃんが『知らない』ということは~)
「それはお前も同じか、凛道蓮?」
「もがもが!」
(同意するしかないでしょうー♪)
首を縦に振って口裏を合わせる。
〔★凛は瑞希に従った★〕


