彼は高嶺のヤンキー様4(元ヤン)






「っわああああああ!?ひ、ひいた!?ひきましたか!?」

「伊織じゃなけりゃ、ひいてたな。大丈夫だ、凛たん。」

「ホントに!?マジで引いてないでしょうね、イオリン!?」

「落ち着け、モニカ!そういう衝撃はなかっただろう?」

「わはは!瑞希の言う通り、血のにおいも骨がきしむ音もしなかったぜ~!危なかったな、加害者~!?」

「馬鹿者!今のは100%俺が被害者だぞ!?」

「凛は平気か?」

「は、はい・・・瑞希お兄ちゃん・・・」



車内はパニックになるが、冷静な人達のおかげで助かる。




「モニカ、凛を頼む。」

「え?」




そう言うと、私をモニカちゃんに押し付けて車の窓を開ける瑞希お兄ちゃん。

そして、声高らかに叫んだ。





「どういうつもりっすか!?あんたの部下してると、車の前に飛び出したくなるような精神状態になるんですかねー!?」





窓から顔を出しながら瑞希お兄ちゃんは言った。






「フジバラさーん?」

「おじさん!?」






パトカーから、くわえたばこのおじさんと、見たことあるような、ないような男の人がおりてくる。





「おじさん、今の見たよね!?」

「あ、コラ!凛!」

「今、飛び出した人が悪いよね、おじさん!?」





瑞希お兄ちゃんが開けた窓に、同じように顔を出しながら聞けば――――――





「おじさんじゃない!フジバラ警部補と言え、凛道蓮!」

「え!?あ・・・お兄さんは!?」

「岩倉だ!」





そう言って車の前から出てきたのは、車の前に飛び出した人。




「お兄さん、飛び出しを注意する側が、飛び出しちゃダメでしょう?」

「お前らが無視するから、引き止めただけだ!」

「無視??」

「言いがかりだ。」




その言葉で、助手席の窓が開く。




「飛び出してきたのは、あんただろう?昔懐かしの『101回目のプロポーズ』かと思ったぜ?」

「ああ、知ってるぞ。車の前に飛び出して、あなたのためなら死ねるって言ってプロポーズするやつか?」

「そんなアプローチ嫌ですよ!」

「あら、昔はあったのよぉ~凛ちゃん?」

「わははは!あれで、引っかかる女が多かったらしいぜ!」

「くだらん!今するべき話は、恋愛ではなく交通ルールについてだろう!?」




そう言うなり、烈司さんが開けた窓に向かって獅子島さんが叫ぶ。