まさか・・・?と、胸騒ぎを覚える私の前で、運転席と助手席の2人が軽快に話す。
「どのあたりだ、烈司?運転席からは確認できんぞ?」
「駐車場で待ち伏せだろうぜ、伊織。安全運転で、OK?」
「特攻服以外の時は、ゴールド免許だ。」
「え!?」
(前のカーチェースは、特攻服着てなかったよね?)
「どうした凛道?なにか言いたいことでもあるか?」
「い、いえ・・・」
言えない。
(言えるもんなら言ってみろと言わんばかりの顔をされたら言えない・・・。)
ギロッとにらまれ、自然と瑞希お兄ちゃんの方へ体をかたむける。
〔★伊織の目力、凛の言葉を封印した★〕
私が瑞希お兄ちゃんにくっつけば、隣にいたオネェさんのテンションがあがる。
「あーん、みーちゃんばっかりずるい!モニカちゃんも~♪」
「わわ!?」
「コラ、モニカ!凛がつぶれる!」
ガバッと♪抱き付かれ、瑞希お兄ちゃんとの間でサンドイッチになる。
(きゅうくつだけど、悪くな~い♪)
押されるふりして、瑞希お兄ちゃんに抱き付けるもーん♪
〔★考えることがせこかった★〕
「わはは!見ろよ!マジで、出やがったな!」
「え?」
瑞希お兄ちゃんより出くっついていたら、後部座席の楽しそうに百鬼が言う。
それで瑞希お兄ちゃんから、視線を前に向ける。
広い駐車場に、パトカーが止まっている。
見覚えのある人影も。
「伊織。」
「はねていいんだな、瑞希?」
「はねんなっ!警視庁に行く夢をパーにする気か!?普通にしとけ。」
「では、あまり近くに止めんように・・・・」
「止まりなさーい!!」
バッ!!
「「「「「なっ!?」」」」」
「わはははは♪」
キキキィイイイ!!
突然、人影が飛び出してきた。
それで急ブレーキを踏みながら、烈司さんをかばうよう彼の胸の前に手を出す獅子島さんと、手すりにつかまる烈司さん。
モニカちゃんと瑞希お兄ちゃんも、近くの手すりをつかみ、私の体を抱きしめる。
百鬼だけ、全く動かなかったのはなぜだろう・・・
〔★野獣は重力にも勝った★〕


