彼は高嶺のヤンキー様4(元ヤン)






「ははは!伊織、優秀な演技のし過ぎと、連日の教授のお供で忙しいだけだよ、凛たん。」

「ええ!?教授のお供!?すごいですね、優秀ですね!?」

「ふん!当然だ。」

「とかいいつつ、凛たんに褒められ、本心はめっちゃテンション上がってますよ~みなさーん♪」

「黙らんか、烈司!」

「わはははは!誤魔化すな!バレバレだぞ!?」

「そーねぇ~凛ちゃんに尊敬されるのが嬉しいのよねぇ~?」

「顔に出てるぞ~?あーあ、伊織にも凛ぐれー素直さがあれば・・・」




(え?違いがわからない・・・)




口調の強弱はわかるけど、表情はポーカーフェイスのままで変わらない眼鏡の先輩。

その変化がわからず、1人、話題に入れず、取り残される気持ち。

なので、瑞希お兄ちゃんのシャツの端をつまんでみた。



「!?」



それに気づいた瑞希お兄ちゃんがこちらを見るけど―――――――





ナデナデ。


「!!?」





怒らなかった。

代わりに、シャツを握る私の手を、優しくなでてくれた。





(きゃああああああああああ~~~~~~~~~!)



拒まれなかった!

ラッキー!!





えへへ♪な思いで、もう少しだけと、ギューと力を込めてにぎった時だった。





「あーあー、マイクテスト。ただいま、検問発生が発生しました。」

「烈司さん!?」





突然、水着のお姉さんが表紙の雑誌を丸めたかと思うと、それをマイクに見立て、口元にあててしゃべる男前。




「どうした、烈司?」

「検問って・・・?」

「瑞希、凛たん。おじさんが出るぞ。」

「「え?」」

「いやん!おじさんて・・・ちょっと~・・・」

「奴しかおらんな。」

「わははははは!」



私が知る『おじさん』といえば、だいたい1人しかいない。