彼は高嶺のヤンキー様4(元ヤン)






「よし!飾り付け終了!凛も帰ってきたし、墓参りに出かけるか!?」

「「「「おーう!」」」」

「はーい!」





瑞希お兄ちゃんの掛け声で、慶良寺へと出発する。

借りた車は、前回と同じレンタカー。

運転は獅子島さん、助手席は烈司さん。

二列目に、モニカちゃん、私、瑞希お兄ちゃんの順番で乗る。

三列目は百鬼一人の特等席だ。





「どうだった、凛?ちゃんと、リョウコちゃんに携帯返せたか?」

「はい、バッチリです。怪我もなかったですよ、瑞希お兄ちゃん。」





車がガレージから出たところで、瑞希お兄ちゃんに聞かれる。

朝、会うことは話していた。

軒猿を倒し、仲間に紹介し、肩書決めをして、夜店でお手伝い・・・・





(ちょっと疲れたかも・・・・)



〔★普通は疲れる★〕



疲労した体が、シートに食い込む。

モニカちゃんが隣でしゃべってるのが、ラジオの音のように聞こえる。




(眠い・・・・)




クーラーのきいた車内でボーと考える。

私達がお墓参りに行くことは、慶良寺のご住職さんには伝えていると、瑞希お兄ちゃんは言っていた。

可児君もどうやってか、それを知ったらしく、掃除道具一式を用意して待ってくれているという。

和尚さんが、自分の息子が龍星軍に入ったのをどう思っているか知らないが、口出しはしなかったと可児君は得意げに言っていた。





(実際はどうだろう・・・・)





可児君が、私にすぐしゃべるって気づいてるから、和尚さんは本心を言わないだけなんじゃないかな?

本当は暴走族に反対しているんじゃないかと疑っている。

『菅原凛』として、いじめられている面を持つようになってから『人間不信』を体験した。

『凛道蓮』として、暴走族の総長という面を持つようになったことで、『本音』と『建て前』を学んだ。

2人の『凛』を通して、環境が人を変えるということは本当だったのだと知った。