「よし!飾り付け終了!凛も帰ってきたし、墓参りに出かけるか!?」
「「「「おーう!」」」」
「はーい!」
瑞希お兄ちゃんの掛け声で、慶良寺へと出発する。
借りた車は、前回と同じレンタカー。
運転は獅子島さん、助手席は烈司さん。
二列目に、モニカちゃん、私、瑞希お兄ちゃんの順番で乗る。
三列目は百鬼一人の特等席だ。
「どうだった、凛?ちゃんと、リョウコちゃんに携帯返せたか?」
「はい、バッチリです。怪我もなかったですよ、瑞希お兄ちゃん。」
車がガレージから出たところで、瑞希お兄ちゃんに聞かれる。
朝、会うことは話していた。
軒猿を倒し、仲間に紹介し、肩書決めをして、夜店でお手伝い・・・・
(ちょっと疲れたかも・・・・)
〔★普通は疲れる★〕
疲労した体が、シートに食い込む。
モニカちゃんが隣でしゃべってるのが、ラジオの音のように聞こえる。
(眠い・・・・)
クーラーのきいた車内でボーと考える。
私達がお墓参りに行くことは、慶良寺のご住職さんには伝えていると、瑞希お兄ちゃんは言っていた。
可児君もどうやってか、それを知ったらしく、掃除道具一式を用意して待ってくれているという。
和尚さんが、自分の息子が龍星軍に入ったのをどう思っているか知らないが、口出しはしなかったと可児君は得意げに言っていた。
(実際はどうだろう・・・・)
可児君が、私にすぐしゃべるって気づいてるから、和尚さんは本心を言わないだけなんじゃないかな?
本当は暴走族に反対しているんじゃないかと疑っている。
『菅原凛』として、いじめられている面を持つようになってから『人間不信』を体験した。
『凛道蓮』として、暴走族の総長という面を持つようになったことで、『本音』と『建て前』を学んだ。
2人の『凛』を通して、環境が人を変えるということは本当だったのだと知った。


