「中に人が乗っててもおかしくないぐらい、カッコよくて強そうです。」
「そうだろう、そうだろう!」
しかし、すごいのは瑞希お兄ちゃんだけではない。
「凛たん、烈司さんの馬はどーよ?」
声をかけてきたのはキュウリ担当の烈司さん。
「早くこの世に帰ってくるようにしてみたぜ?」
「てっ!?馬というより、ミニ四駆じゃないですか!?座席部分まで綺麗に切り抜いて!1人用ですか!?タイヤもキュウリだし、車体に文字も彫ってるし!」
「ミニチュアサイズのエフワンカーと思ってくれ。プチヘルメット付きだ。」
「小さい!?しかも上手ですね!?」
烈司さんのキュウリは、細かいところまで丁寧に仕上げられていた。
乗った亡者は、高速移動ができるだろう。
〔★手が込んでいた★〕
「あら~モニカちゃんの牛の方がすごいわよ、りんちゃん!みてみて、可愛くなーい?」
私をバグしながら言ったのは、ナス担当のモニカちゃん。
「あ、可愛い!ナスで作ったお花やリボンが・・・あれ?もしかして、色を塗ってますか?」
「そうなのよ~!なすって切ったら変色するでしょう?白い部分を削った時に、上から白の絵の具ぬったのよ~お花だって、カラフルな方が乗る人も楽しいと思わなーい?」
そう語るモニカちゃんのナスは、色鮮やかな牛になっていた。
丸めの物を使っていたのでぬいぐるみのようなだ。
「すてきですよ、モニカちゃん。さすが、龍星軍一の美的センスの持ち主です!」
「ありがとうぉ~♪」
〔★乙女趣味も現れている★〕
「馬鹿共め。精霊牛ならば、きちんとした馬を作らんでどうする?凛道よ、これが真の精霊牛だ。」
淡々と言うのが、ナス担当である獅子島さん。
どんなのを作ったのかと思ってみれば・・・・
「ええ!?彫刻!?」
とてもリアルな四足の牛があった。
尻尾の曲線はもちろん、ちゃんと鼻輪までナスで出来ていた。
切った(!?)ことで変色し、かえって渋みが出ていた。
「どうやったんですか、これ!?木彫りみたいじゃないですか!?」
「当然だ。木彫りを手本にした。」
「木彫りを?」
「どんなに大きなナスでも、牛をかたどれば小さくなる。それゆえ、仏像を作る時に仏師が使う小さな木材の組み合わせて大きな仏像を作るやり方を応用して作ったのだ。」
「もはや、匠の技ですが!?」
完璧主義の獅子島さんらしい精霊牛だった。
〔★完成度が高すぎた★〕


