単車を飛ばして帰れば、お店の前に彼がいた。





「おかえり、凛!」

「すみません、遅くなりました。」

「そんなに待ってねぇーよ。」





そう言いながら、お店の出入り口で何かしていた。




「あ、お盆の用意ですか?」

「おう、お供えもんだ。」




彼の手元には、地面に置かれたお盆とその上に並ぶ果物や水があった。

本日、迎え火という日なので、こうやって亡くなった人が帰って来れるように準備していた。




「瑞希~馬と牛持ってきたぜ~」




大きな箱を抱えながら、烈司さんが店内から出てくる。





「お、凛たんお帰り。」

「ただ今戻りました。」

「え?凛ちゃん帰ってきたの!?」

「もどったか、凛道。」

「わはははは!り~ん~す~け~!」





烈司さんに続くように、モニカちゃんと獅子島さんと百鬼も顔を出す。





「よかったな、瑞希。凛たんが早く帰ってきて。」

「な、なに言ってんだよ、烈司!?」

「あら~お盆の用意しながら、道路をチラチラしてた忠犬ハチ公ちゃんはだーれ?」

「真夏にもかかわらず外でじっと待ちおって。水分補給を忘れるなよ、ハチ公。」

「だ、誰が柴犬だ!?」

「わはははは!」



(瑞希お兄ちゃんが、そこまで私のことを・・・!)





顔を赤くして仲間を怒る姿にキュンとする。





「俺は凛の兄貴なんだから、気になって当たり前だろう!?」

「はいはい。わかったから。」





プリプリ怒る瑞希お兄ちゃんを、なだめるように言いながら烈司さんが大きな箱を差し出す。

メロンの写真がプリントされた大箱。





「さっさと、これ並べようぜ?」

「わーってるよ!」

「烈司さん、それ・・・」

「おう、凛たんの作品も入ってっるぞ?」





メロンの箱だけど、中身はメロンじゃない。





「壊れてないよな?」

「確認しましょうよ~」

「それもよかろう。」

「凛、持っててくれ。」

「わかりました。」

「わはははは!」





瑞希お兄ちゃんから受け取って箱を押えれば、彼が箱のふたを開けてくれた。