「・・・ごめんね、涼子ちゃん。心配・・・かけちゃったね。」

「そんな言葉は聞きたくないです。お願いだから・・・私が言ったこと、守って下さい。」

「・・・・わかった。約束するよ、涼子。」





安心させたくて、彼女の頭をなでる。

それに相手は、不安そうな顔で言葉をつむぐ。




「わかってるんです・・・私、自分が生意気言ってるのは・・・!でも・・・・私、凛君に何かあったら嫌だから。」

「涼子ちゃん・・・」

「今日だって・・・・くれぐれも、気をつけてね?2代目総長さんのお墓参り?」

「もちろんだよ、俺の妖精さん。」




ゆっくりと彼女から手を離すと、座ったままの涼子ちゃんをギュッと抱きしめる。

それに涼子ちゃんは、またビクッ!と体を震わせたが、ゆっくりと背中に腕を回してきた。

友達の反応を面白いと思いながら言った。





「心配してくれてありがとう・・・君みたいな普通の子が、こんなに思ってくれるなんて・・・・」

「そ、そんなことないよ・・・・」

「本当だよ。」





龍星軍以外で、心を許せる普通の友達は彼女だけ。

きっとこれから先も彼女だけだろう。





「僕の心優しい涼子ちゃん・・・・」






ギューと抱きしめてから放す。

伝票を手に取れば、彼女が何か言いかけたので、人差し指を口元にあてて、「しー」と伝える。

凛道蓮として女の子に払わせるわけにはいかないから、そのまま1人でレジに進む。

それにつなぐが反応してやってくる。





「逢引きは終了ですか?」

「怒りますよ。」

「ジョーダン。ちゃんと、彼女が店を出るまでの無事を見届けますから。」

「君が絡むと、女の子達の恨みを買いそうだからいいよ。」

「注意して見ておきます。忍びとして――――――・・・・・」

「・・・・・・・じゃあ、任せたよ、新・軒猿。」

「御意(ぎょい)。」





つなぐに2人分の会計をしてもらい、お店を出る。

外に止めていた単車にまたがり、キーを回した。





(行くか。)

「・・・・慶良寺へ。」





可児君の家であり。





(龍星軍二代目総長・伊吹陽翔の眠る墓へ―――――――――――――)





バウンウウン!






少しだけ、涼子ちゃんのおかげで嫌な気分は消えていた。