「アキナさんだけど・・・」

「彼女が・・・なに?」

(まさか、知り合いとか言わないよね?)





存在が存在だけに、ハラハラしながら聞く。

それに涼子ちゃんは、私の腕をつかむ力を強めながら言った。




「九條アキナさんのこと、本当に気をつけてね?凛君、『女性』には、優しすぎるから。」

「りょ、涼子ちゃん?」

「そうでしょう?男のハンターは殴れても、女のハンターは殴れなかった・・・違いますか?」

「違いませんが・・・。」

「見たことないから、凛君達の話を聞いただけだけど・・・多分、彼女『正常』だと思います。」


「正常!?」

(なに言ってるの、涼子ちゃん!?)



「あのアキナさんを見・・・・いや、話を聞いて、『正常な人』だと思うんですか?」

「ええ。だって、アキナさんにとって、仕返しすることは『正しい』と思ってるんでしょう?」

「え?」





言われてみて気づく。





「『自分が間違ってない』と思う人にはよくあることです・・・。なにを基準にしてるか、何が中心だったのか・・・」

「基準・・・中心・・・・」

「彼女にとって、伊吹陽翔さんが『すべて』だったら、それを失うきっかけになったものはなんでも憎くなる・・・敵になるんじゃないかな?」

「・・・言われてみれば・・・」

「だから、いざとなったら――――――――――――彼女とも戦わなきゃダメです。」

「涼子ちゃん、それは・・・」

「凛君にそれが出来ないなら。」





一呼吸おいて、優しい彼女は言った。





「私が、ぶっ飛ばします。」





黒い瞳で私を見据えながら宣言する。



(ヤンキーのそう言う発言は聞きなれてるけど、真面目な子が言うと・・・)





「・・・・嘘に聞こえないね・・・」

「当たり前です。私、本気よ?」





笑ってごまかすように言えば、真顔で言われる。

それで私は、自分が失礼な態度を取ったと気づいた。