ラブストーリーでは、定番になった動作。

胸がドキドキしたけど、たぶんトキメキという意味ではないと思う。




「瑞希お兄ちゃん?」

「・・・・・。」




不機嫌というわけではない。

怒っているようだけど、何か違う。

そんな表情。

返事に困って固まっていれば、何もつけていないはずの桃色の唇が動いた。





「言うなよ・・・・」

「え?」




疑問符をもらせば、吐息がかかるぐらい顔を近づけながら彼は言った。





「2度と・・・・『自分に万が一のことがあったら』なんて言うな・・・・」

「え・・・?」





泣きそうな顔で言われる。

表情にばかり気を取られて、言われたセリフの意味をすぐに理解できなかった。



「あ、そ、それって・・・?」



さっき、私が言ったことを、言ってるの・・・?




グイ!

「あ!」




そう思った時、体を引き寄せられていた。

引っ張られる。





「つーことで、ペナルティーだ。」

「ペナルティー!?」

「今日の凛は、俺の抱き枕に決定な?」




「・・・・・・・・・えっ?」

だきまく・・・・?

(えええええ~~~~~~~~!?)



「だっ、だき、むぐ!?」





叫びそうになった口をふさがれる。

勝ち誇るような顔で彼が笑ってる。

近すぎる距離と温もり。

あれよ、あれよという間に、抱え込まれる。

つままれる。

気づいた時には、瑞希お兄ちゃんの部屋に連れ込まれていた。





「瑞希お兄・・・・」

ボフン!!





つままれた体が、布団の上に落ちる。

まるで、UFキャッチャーの景品のようにベッドの上におろされた。




「あの・・・・!?」

「寝るぞ。」




有無を言わさずそう言うと、パニックが続く私の上に覆いかぶさる好きな人。