「凛、来週の月曜から水曜までの平日はヒマか?」

「え?」





そう言われたのは、夜店のお手伝いを終えて帰る車の中でした。

その日のメンバーは、瑞希兄ちゃんと私と烈司さん。

運転する烈司さんと、その助手席に瑞希お兄ちゃんがいた。

私は瑞希お兄ちゃんの隣になれず、仕事の疲れも重なって凹んでいた時だった。





「来週の平日ですか?」


(なんだろう・・・?)





疑問一杯の気持ちで聞き返せば、ニコニコしながら瑞希お兄ちゃんは言う。





「ほら、俺の仕事、土日と週末が稼ぎ時なんだよ~夏休みも関係なしで忙しくてよぉ~休みとろうと思ったら、平日しか無理でなぁ~」

「意外だなぁ~瑞希。有休まだ残ってるのか?凛たんや瑞希姫の件で、結構休んでたじゃねぇか?」

「次、姫って言ったらぶっ飛ばすぞ!?」

「はははは!ウソウソ~そんで?よく3日にも休ませてくれたなぁ~?有休か?」

「バカ!俺は有給、使ってないんだよ!」

「有休?・・・って、なんです??」

「有休っていうのは、勤めて半年たったらもらえる、休日でも給料がもらえる休みのことだよ。知らないのか、凛?」

「初耳です!へぇ~便利ですねぇ~」

「労働者の権利だから、覚えとけよ!上限までたまったら、あとは使わないと消えていく不便なもんだからよ。」

「使ったもの勝ちですね。」

「そういうこと!」

「それを瑞希お兄ちゃんは、凛たんのために使ってたんじゃねぇのか?」

「だから、使ってない!こういう時の時のため、とっておいてんだよ!有休は最終手段みたいなもんだから~可能な限り、休みを帰る時は、先輩や後輩に無理言って、交換とか、交代してもらってたんだ!」

「はは!そりゃあ、賢い使い方だ。無駄遣いは出来ないもんなぁ~」

「無駄ってなんだ!無駄って!?これまでの凛のピンチが大した危機じゃなかったっているのかよ!?」

「わーった、わーった、悪かった!耳元で騒ぐなって!」

「冗談でも言うなボケ!!てことで、いいよな、凛!?」

「話がまったくわからないんですが・・・」





首だけで振り返りながら聞いてくる愛しいお方に、引きつる顔で聞き返してくる瑞希お兄ちゃん。