彼は高嶺のヤンキー様4(元ヤン)






「うっ・・・うっ・・・・」

「つ、つなぐ!」





どうしたものかと周りを見渡すが、みんな動かない。

真面目な顔で、何かを悟ったような表情で、つなぐを見ているだけ。

瑞希お兄ちゃんも・・・私の髪を手ぐしでとくようになでるばかりで、真顔で口を閉ざしている。

ヤマトもシゲ先生も、何も言わない。

だから、私が言うしかないらしい。





「あ、つなぐ・・・大丈夫?僕、言い方が、なにか悪――――」

「・・・・・・ありがとうございます。」





そんな声に合わせ、誰かがつなぐの背後に立つ。



「鉄山さん。」



つなぐのお父さんだった。





「必要なウソと聞いた時、どういうつもりかと思いましたが・・・・そういう意味でしたか。」

「あ、え、あの!」

「今・・・・我が子の言葉を聞くまで、つなぐの本心をわかっていませんでした。私達は半陰陽について、理解していると上から目線で言っていた・・・。あなたのように、『教えてほしい』と言ったことが・・・一度もなかった・・・・」





そう言うと、静かに泣いているらしい子供の肩に手をやる父親。




「すまなかった、つなぐ。もう一度、家族で話し合わせてくれ。」

「・・・・っ、な、んだよ、それ・・・?」

「つなぐが、どういった気持ちなのか・・・父に教えてくれ。」

「・・・・人に言われてから言うのかよ・・・!?」

「気づかないままだったよりは、マシだと思う。悪かった・・・」

「父上・・・」




それで目元をこすりながら、つなぐが顔を上げる。

ふてぶてしくて、粋なイメージだったけど、少女のような少年のような、子供っぽさのある表情になっていた。




「みなさん、お騒がせして申し訳ありませんでした。我々は帰ります。」




支えるようにして、つなぐを立たせながら鉄山さんは言う。




「おわびとお礼はいずれ改めて。蓮君・・・・本当にありがとう。」

「い、いいえ!僕は何も~」




曇りない瞳で言われ、視線をそらしてしまう。



気まずい・・・





(誤魔化しのつもりで言ったセリフが、すごく良いものになってしまった・・・)





後ろめたい気持ちをまぎらわしたくてまた、余計な一言を言ってしまった。





「僕とつなぐは、もう友達です。だから、仲間として当然のことをしたまでですから。」

「―――――――――――我が君!!」



ガシ!!

「わっ!?」

「うう!どーしてそんなに優しいの!?兄弟そろって優しいんだよぉぉぉ~~~~」

「ええ!?」

「おいおい。」





私を抱きしめている瑞希お兄ちゃんごと、抱き付いてくるつなぐ。