「うっ・・・うっ・・・・」
「つ、つなぐ!」
どうしたものかと周りを見渡すが、みんな動かない。
真面目な顔で、何かを悟ったような表情で、つなぐを見ているだけ。
瑞希お兄ちゃんも・・・私の髪を手ぐしでとくようになでるばかりで、真顔で口を閉ざしている。
ヤマトもシゲ先生も、何も言わない。
だから、私が言うしかないらしい。
「あ、つなぐ・・・大丈夫?僕、言い方が、なにか悪――――」
「・・・・・・ありがとうございます。」
そんな声に合わせ、誰かがつなぐの背後に立つ。
「鉄山さん。」
つなぐのお父さんだった。
「必要なウソと聞いた時、どういうつもりかと思いましたが・・・・そういう意味でしたか。」
「あ、え、あの!」
「今・・・・我が子の言葉を聞くまで、つなぐの本心をわかっていませんでした。私達は半陰陽について、理解していると上から目線で言っていた・・・。あなたのように、『教えてほしい』と言ったことが・・・一度もなかった・・・・」
そう言うと、静かに泣いているらしい子供の肩に手をやる父親。
「すまなかった、つなぐ。もう一度、家族で話し合わせてくれ。」
「・・・・っ、な、んだよ、それ・・・?」
「つなぐが、どういった気持ちなのか・・・父に教えてくれ。」
「・・・・人に言われてから言うのかよ・・・!?」
「気づかないままだったよりは、マシだと思う。悪かった・・・」
「父上・・・」
それで目元をこすりながら、つなぐが顔を上げる。
ふてぶてしくて、粋なイメージだったけど、少女のような少年のような、子供っぽさのある表情になっていた。
「みなさん、お騒がせして申し訳ありませんでした。我々は帰ります。」
支えるようにして、つなぐを立たせながら鉄山さんは言う。
「おわびとお礼はいずれ改めて。蓮君・・・・本当にありがとう。」
「い、いいえ!僕は何も~」
曇りない瞳で言われ、視線をそらしてしまう。
気まずい・・・
(誤魔化しのつもりで言ったセリフが、すごく良いものになってしまった・・・)
後ろめたい気持ちをまぎらわしたくてまた、余計な一言を言ってしまった。
「僕とつなぐは、もう友達です。だから、仲間として当然のことをしたまでですから。」
「―――――――――――我が君!!」
ガシ!!
「わっ!?」
「うう!どーしてそんなに優しいの!?兄弟そろって優しいんだよぉぉぉ~~~~」
「ええ!?」
「おいおい。」
私を抱きしめている瑞希お兄ちゃんごと、抱き付いてくるつなぐ。


